本田の「服従」発言はハリルへの“造反”なのか 二人の間に存在したサッカー観の対立

いくつかのプレーでイメージが異なっていただけで…

 デンマーク戦の映像を見返してみると、遠藤の修正案も根本的な解決にはなっていないのだが、それでもまだマシにはなった。試合は3-1で日本が勝っている。

 また2004年の欧州選手権では、オランダ代表のクラレンス・セードルフがディック・アドフォカート監督に「どうすんの、これ?」という調子で詰め寄っていたのを覚えている。グループリーグ第2戦のチェコ戦での出来事だ。この時は適切な修正策を出せず、オランダはチェコに2-3で敗れている。

 二つの例は、どちらも相手が想定外のことを仕掛けてきた時の対処法について、選手と監督が話していたケースだ。しかし、試合中に監督と話し合う機会など、ない場合の方が多い。そういう時は選手の判断で、修正を図る必要が出てくるわけだ。

 ベルギー遠征で本田が行ったのはポジショニングの修正ではなく、バヒド・ハリルホジッチ前監督とのサッカー観の対立とも言うべきものだった。監督の「縦に速く」という要求に反して、いくつかの場面で本田は「タメ」を作るプレーを選択していた。とはいえ、監督もなんでもかんでも「縦に速く」というわけではないだろうし、そもそも縦に速くだけなら本田を起用する意味もない。いくつかのプレーで監督と本田のイメージが違っていたというだけの話であり、「造反」と呼ぶのは大袈裟だ。

西部謙司

1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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