本田の「服従」発言はハリルへの“造反”なのか 二人の間に存在したサッカー観の対立

ハリルホジッチが貫いたフランス式の圧の強い接し方

 ハリルホジッチ前監督が指導者のキャリアを積んだフランスは、一般的に選手の自己主張が強い。オーダーを実行させるには押さえつけるぐらいの圧力が必要なので、選手に対して強く出る監督は少なくない。

 ところが、日本はフランスとは逆に圧をかけるまでもなく監督の意には従う。すでに同調圧力がかかっているからだ。例えば、試合中に監督の作戦を無視して自分が正しいと思うことを実行する時に、心理的なハードルは欧州より日本の方がはるかに高い。

 ハリルホジッチ前監督は、選手に対してフランス式の圧の強い接し方をしていた。そうなると、元々個人の意見を表明するのに同調圧力のある日本人選手は、ますます何も言えなくなる。欧州生活が長く、日本人としては自己主張の強い本田は、それを「服従」と捉えたのかもしれない。

 ただ、わざわざ「服従」という強い言葉をチョイスしたところに、本田も日本人なのだと感じた。監督の意向と少し違ったプレーをすることへの心理的なハードルの高さ、その裏返しが「服従」というあまり穏当でない言葉になったのではないか。

 コメントの冒頭で「悔いはないです」と言っているので、本田はW杯メンバーに選出されないことも予想していたのだろう。それでも、自分が正しいと思ったことにトライしないよりはマシで、やらないほうが「恥ずかしい」。しかし結果的にチームを好転させられなかったのだから選外も仕方なく、その点に「悔いはない」と言っているわけだ。

西部謙司

1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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