“日本代表の進むべき道”を考える 「パスをつなぐサッカー」でW杯8強へ行くには?

強豪国相手にもポゼッション率70%を取れなければ…

 日本が「パスをつなぎたい」のだけは分かった。では、そこからどんなサッカーが可能なのか。同時にワールドカップ(W杯)でベスト8以上という目標を立ててみる。そこから、ある程度の見通しは描けるかもしれない。

 先にベスト8の条件を考えてみよう。2010年南アフリカW杯は、日本がベスト8進出に限りなく近づいた大会だった。PK戦の末に敗れた相手はパラグアイだ。しかし、決勝トーナメント1回戦で対戦するのはパラグアイとは限らない。むしろドイツ、ブラジル、スペイン、アルゼンチン、フランス、オランダ、イタリア、イングランドあたりの強豪国と当たる可能性の方が高い。となると、ベスト8は優勝候補レベルの相手に勝つサッカーをしなければならないということになるわけだ。

 パスをつなぐサッカーをメインにするなら、強豪国相手でもボールポゼッションで70%以上は取れないと勝ち目はまずない。打ち合いになったら、強豪国に決定力で打ち負かされる可能性が高いからだ。ポゼッションを70%ぐらい取れば、相手のチャンスは必然的に減るので望みは出てくる。

 もちろんボール支配率が得点に直結するわけではなく、引いている相手の守備を崩すのはカウンターアタックより難しい。70%あっても目指すのは1点、良くて2点と考えるのが現実的。そして相手のカウンターを防ぐ守備も必要になる。

 2014年ブラジルW杯での日本は、けっこうパスはつなげていた。ただ、そこから先で得点に結びつける力が足りなかった。では、どうしたら得点を取れるのか。ここが最大のポイントになるだろう。

西部謙司

にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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