“日本代表の進むべき道”を考える 「パスをつなぐサッカー」でW杯8強へ行くには?

大事なことは技術委員会がまずは方針を決めること

 パスをつなぐことを優先すれば、パスをつなげない選手は当然メンバーには入れられない。パスワーク以外にワールドクラスの武器を持っていても脱落する。サッカーに正解はないのに、それ以外の考え方を切り捨てることになる。ただ、それを決めないと何も始まらないのだ。

 会長は「パスをつなぐサッカー」と言ったが、「堅守速攻のサッカー」でもなんでも構わない。技術委員会は専門家の集団なのだから、これが日本のサッカーだと結論を出したら自信を持って実行すればいいのだ。10年やってダメだと分かったら過ちを認めて、違う考えのグループにバトンを渡せばいいだけの話。まず決めること。

 イングランドは1960年代に決め方を誤り、回復までに多大な時間をロスした。サッカーの進歩への考察を欠き、本質も見誤っていた。それでも何も決めようとしないよりはマシだったと思う。サッカーの母国のように20年間も迷走するのは長すぎるとしても、トライ&エラーさえ恐れていては何年経っても同じ場所でうろうろしているだけになる。

(西部謙司 / Kenji Nishibe)



西部謙司

にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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