銀河系軍団レアルでも“規格外”の英雄 今も語り継がれる伝説ボレー弾と変則システム

【サッカー英雄列伝|No.2】ジネディーヌ・ジダン(後編)――“白い巨人”への移籍と波紋を呼んだ2006年W杯での終幕

 

【前編】フランス黄金期の象徴ジダン 絶滅危機の“トップ下”で輝いた完全無欠の司令塔

 

 銀河系軍団――。もしサッカー界に百科事典があったとしたら、この言葉は確実に収録されるであろう。2000年代初頭から中盤にかけて栄華を極めたレアル・マドリード。各国代表のスタークラスをかき集めた布陣は「銀河系軍団」と称されたが、その中心にいたのはMFジネディーヌ・ジダンだった。

 1998年、自国開催のフランスW杯決勝で優勝に導くヘディングシュートを決め、セリエA屈指の名門ユベントスでも数々のタイトルをもたらした。当時のサッカー界にはロベルト・バッジョら数多くのスターはいたものの、アルゼンチン代表MFディエゴ・マラドーナの跡を継ぐような絶対的なスーパースターは不在だった。その座に上り詰めようとしつつあったジダンに対して、強い興味を示したのは剛腕で鳴るレアルのフロレンティーノ・ペレス会長だった。

 2000年にポルトガル代表FWルイス・フィーゴを宿敵バルセロナから引き抜く“禁断の移籍”に成功。これによって自信を深めたペレス会長は、続くターゲットをジダンに向けた。スペイン人の妻が母国で暮らしたいとの意向を持っていると聞きつけると、00年8月に行われたUEFAのレセプションでジダンと同席する。その際に「レアルに来たいか?」とのメッセージを紙ナプキンに書いて渡したところから、移籍劇は一気に加速していく。

 交渉は水面下で続くと、翌年夏、当時の史上最高額となる移籍金7350万ユーロ(当時のレートで約80億円)でユーベからレアルへの移籍が実現した。この移籍金は09年、同じFWクリスティアーノ・ロナウドが9400万ユーロ(当時のレートで約126億円)でマンチェスター・ユナイテッドからレアルに加わるまで更新されなかったことを踏まえれば、規格外の移籍劇だったと言っていい。

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