銀河系軍団レアルでも“規格外”の英雄 今も語り継がれる伝説ボレー弾と変則システム

最後の舞台で放った輝きと衝撃の退場劇

 レアルはその後も圧倒的な攻撃力を見せつけたが、マケレレを手放しMFデイビッド・ベッカムらを乱獲するなど前輪駆動を強めすぎた。そして宿敵バルサがFWロナウジーニョを獲得し、FWリオネル・メッシらが成長して主力に定着したこともあり、ジダン在籍時に獲得できたタイトルはCLが前述の01-02シーズン、リーガ制覇は02-03シーズンのそれぞれ一度だけだった。とはいえ、その印象はあまりに鮮烈だった。

 ジダンが残したインパクトは、ワールドカップ(W杯)でのファイナルダンスでも特大だった。02年の日韓W杯では自身の負傷もあってグループリーグ敗退の憂き目に遭ったが、06年ドイツW杯では大会後の引退を明言していたことにより、チームも一丸となった。そのなかでジダンも最後の輝きを見せようと、決勝トーナメントで獅子奮迅の活躍を見せる。

 準々決勝、優勝候補筆頭と見られたブラジル戦でFWティエリ・アンリの決勝ゴールをアシスト。続く準決勝ポルトガル戦では決勝点となるPKを決めて、チームを2大会ぶりの決勝へと導いた。そして迎えたイタリアとのファイナル、再び巡ってきたPKのチャンスで冷静なループシュートを放ち先制。引退の花道としては最高のシナリオが描かれた、はずだった。

 世界中が衝撃に包まれたのは、1-1で迎えた延長後半のことだった。この日密着マークを受けていたDFマルコ・マテラッツィに、いきなり頭突きを浴びせた。この直前にマテラッツィから自らの親族を侮辱するような発言があったとの報道が錯綜するなど、サッカー界にいまだ残るミステリーだが、ジダンに下された判定はレッドカード。本意ではない形でピッチを去り、母国もPK戦の末に敗戦した。

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