大迫所属のブレーメン、ブンデス“残留”へ大一番 低調なFW陣が悪循環を断ち切れるか

30試合30得点はリーグワースト、大迫のミスに象徴された悪循環

「彼にすべてのプレッシャーを背負わせるつもりはないし、メシアが戻ってきたんだみたいなこと言いたくはない」とコーフェルト監督は慎重に言葉を選びながら、「彼のようなメンタリティーを持った選手をチームに持つことができるのは喜びだ。さらにペナルティーエリア内で仕事ができる優れた選手が加わることで、これまでなかった要素を持つことができる」と小さくはない希望を口にしていた。

 フュルクルク自身は「ピッチ上に立つことができたら、ゴールを決めるために僕のすべてを懸けて戦うよ。ハイボールが来たら、絶対にヘディングをするために飛び込むんだ」と臨戦態勢。その気概はチームの助けになる。

 ただ、大きな怪我で長期離脱していた選手が復帰後すぐに活躍できるかと問われたら、あまりに不確定要素が多すぎる。それに、まだ実戦の感覚がほとんど戻っていない状態でアドレナリンが全開で許容以上の負荷がかかってしまったら、次の大怪我につながる危険性が非常に高い。流石に戦力として期待するわけにはいかないはずだ。

 それでも、復帰したばかりのフュルクルクからこうした話題が出てくるのは、ブレーメンが抱える問題があまりにも大きすぎるからだ。今季30節終了時でのチーム総得点「30」は、18クラブでワーストという数字だからだ。

 最近はカウンターを中心に惜しいところまで持ち込めてはいるが、再開後6試合で3得点というのはやはり満足のいく数字ではない。内訳も1点はCKからDFテオドール・ゲブレ・セラシェ、あと2得点はMFレオナルド・ビッテンコートの個人技から生まれたものだ。

 FW陣は誰が出てもゴールが決まらない。大迫、ミロト・ラシツァ、ダヴィー・ゼルケ、ジョシュ・サージェント。コーフェルト監督は最適な組み合わせ、起用法をまだ見つけられないでいる。出場する選手はみんな、なんとか自分の力でチームを助けたいと強く思い、必死で戦い、ゴールへ迫る。だが、その思いが空回りしてしまう。最適な判断をすることができずに無謀なチャレンジになってしまったり、慎重になりすぎて間違った決断をしてしまいがちだ。

 第29節シャルケ戦(1-0)の終盤で、大迫がゴール前に完全フリーで抜け出しながらシュートではなく折り返しのパスを選択してしまったのは、まさにそうした悪循環による判断ミスの、これ以上ない具体例ではないだろうか。

中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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