南野拓実を導く“アンフィールドの魔法” 「思い込んだら命がけ」のリバプール人気質とは?
デビュー戦で南野も体感、リバプール人「スキャウス」の真っ赤に燃える闘魂
「最高ですね。サッカー選手としてこれ以上ないスタジアムだと思う」
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1月5日、リバプール選手としてのデビュー戦を終えて日本代表MF南野拓実が語ったなかで、最も印象に残った言葉がこれだった。
FAカップは3回戦からプレミアリーグ所属クラブが参戦するが、もちろん抽選の結果によってはイングランド1部リーグ同士の対戦もある。しかしそうは言っても、今回リバプールが地元の宿敵であるエバートンを引き当ててしまったのはツキがなかったと言うしかない。まさによりによって、である。
今季のリバプールが、何よりもプレミアリーグ優勝を最優先にしているのは公然の秘密だ。1970年代から80年代にかけてイングランド最強の名を欲しいままにした名門が、1部リーグの優勝から遠ざかって今年でちょうど30年。昨季はプレミア史上3位となる「97」という勝ち点を積み上げながらも、わずか1点差に泣き、マンチェスター・シティに優勝を譲った。
その悔しさをバネにして、リバプールは現在プレミアリーグの首位を独走している。20試合終了時点で19勝1分の勝ち点58。2位レスターは勝ち点45で勝ち点差は13。しかも、レスターのほうが消化試合数が1試合多い。
当初カタールに遠征して2試合を戦うクラブワールドカップ(W杯)が開催された12月を、英メディアは不安視していた。21日の決勝を終えて帰国した途端、26日、29日、1月2日と続くイングランド特有の年末年始の過密スケジュールがある。
ところがリバプールは、延長戦にもつれこんだフラメンゴとのクラブW杯決勝をフィルミーノのゴールで1-0と勝ち抜き、世界一の栄冠をつかむと、クリスマス翌日の休日“ボクシングデー”で2位に躍進しているレスターを敵地で4-0と粉砕し、それから中2日でしぶとさを増すウォルバーハンプトンに1-0と勝利。今度は中3日で、昇格組ながら前節シティ戦までアウェー無敗だったシェフィールド・ユナイテッドに2-0と完勝した。これでマンチェスター・ユナイテッドに、10月20日の敵地での第9節で1-1と引き分けてから重ねているリーグ戦の連勝記録を「11」まで伸ばした。
ライバルもここで勝ち点を落とすのではないかと期待したシーズンの折り返し地点。しかし結果は年末年始の3連戦も3連勝を飾り、完全なる独走態勢をさらに確固たるものにした。
森 昌利
もり・まさとし/1962年生まれ、福岡県出身。84年からフリーランスのライターとして活動し93年に渡英。当地で英国人女性と結婚後、定住した。ロンドン市内の出版社勤務を経て、98年から再びフリーランスに。01年、FW西澤明訓のボルトン加入をきっかけに報知新聞の英国通信員となり、プレミアリーグの取材を本格的に開始。英国人の視点を意識しながら、“サッカーの母国”イングランドの現状や魅力を日本に伝えている。