「このままじゃダメだと…」 FC東京MF東慶悟、紆余曲折の7年を経て描く“10番像”

ロンドン五輪では攻撃の起点としてチームの快挙に貢献した【写真:Getty Images】
ロンドン五輪では攻撃の起点としてチームの快挙に貢献した【写真:Getty Images】

コーチの一言で目の色が変わる 「もう絶対に手を抜かない」

「試合中はあんなに頑張るのに、なぜ慶悟は毎日の練習を全力で取り組まないんだ?」

 痛いところを突かれた。その翌年の1次キャンプ沖縄・国頭キャンプの練習後だった。宿舎までの道のりで、東からこんな話を聞いた。

「ブルーノに言われたというのもある。だけど、やっぱり練習から100%でやらないと。今まで目標とか聞かれても、数字ばかりを追いかけてきた。でも、そこをやらないと何もついてこないのかなって思うようになった。だから、もう絶対に手を抜かない」

 その宣言から目の色が変わった。「淡々と」が代名詞だった男の姿は、いつしか消えていた。4年の月日が経過し、昨季からFC東京の指揮を執る長谷川健太は、「正直、こんなにいい選手だとは思わなかった。実際に指導してみて良い意味で裏切られた」と言い、東に絶大な信頼を寄せる。18年シーズンはリーグ全試合に出場するなど、今やチームに不可欠な存在となっている。

「あの公約はずっと守り続けてきた。練習でも手を抜かずにやってきた。それが良いほうに出ているから、続けられている要因でもある。このルーティンが良いというのがある。本当に良かったと思う。すべては練習からというのは、やっぱり大事。『努力は裏切らない』とか、『練習は嘘をつかない』という言葉があるけれど、それをあらためて感じる。逆に怖いというか、練習で手を抜いていたら、試合でもふと手を抜いてしまうかもしれない」

 そして今季からは、かつてロンドンで背負った背番号10をつける。所属クラブで10番を背負うのは、プロ11年目で初となる。

 東が思い描く、ナンバー10の姿とは――。

「好きだった10番は、(ジネディーヌ・)ジダン。本当にサッカーが上手かった。クラブではあまり着けているイメージはないけれど、フランス代表では長く10番を背負ってきた。トップ下で、ファンタジスタで『ザ・10番』という感じ。今とは時代も、サッカーも違うけどね。

 そもそも10番の定義が、変わってきているのかも。昔なら(フランチェスコ・)トッティのように、攻撃だけに特化したようなプレーヤーが多かった。今ならそれが許されているのは、(リオネル・)メッシぐらい。でも、メッシは身体能力も備わっているし、純粋にテクニックで勝負するタイプでもない。ネイマールもそうですけれど、スピードも兼ね備えている選手が多いよね、今は」

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