最後の交代枠に選ばれた19歳 8強入り決める陰のアシスト「信じていた」

19歳MF早川が最後の交代カードで途中出場
天皇杯第105回全日本サッカー選手権は8月6日に各地でラウンド16の試合が行われ、浦和レッズがモンテディオ山形に2-1で競り勝った。FW小森飛絢の決勝ゴールには、影のアシストとでも呼ぶべき今季初出場の19歳が見せた味方を生かす動きがあった。
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試合前から強い雨が降りピッチ状態も厳しい中で、浦和は前半に先制を許してしまう。それでも後半16分にMF金子拓郎のゴールで追いついた。4枚の交代枠を使った状態で時間が進む中で、5枚目のカードとして声が掛かったのはMF早川隼平だった。2023年にトップ昇格し、トップ下を主戦場にルヴァン杯でニューヒーロー賞を受賞。昨季はファジアーノ岡山へ期限付き移籍し、今季に浦和へ復帰していた。
しかし、今季はプレシーズンの沖縄キャンプからボランチの一角で紅白戦や対外試合での”Bチーム”に入る姿が目立ち、ここまで公式戦の出場はゼロだった。声が掛かってウォーミングアップエリアからベンチ前へ来た時、MF安居海渡が後半途中に足をつっていたことからボランチへの投入も予感された中、後半39分にMFマテウス・サヴィオとの交代でトップ下に投入された。
その1分後、ピッチに残す決断をされた安居が中盤でボールカットをすると、小森へ縦パスを入れた。この時に早川は3人目の動きで小森の近くまで来ていた。小森がフリックする選択も、小森のコントロールが少し流れたところを早川がスイッチしていく選択もありそうだったが、「自分もボールを触ろうとしたのは多分映像でも見てくれていた方は分かると思うんですけど、飛絢君の方が状態も良かったし、押せ押せのタイミングで、自分が状況の悪い中で触ってもあれだったんで、飛絢君ならシュートを打ってくれるとも信じていた」と、ゴール前へ抜けていった。
その結果、小森は前を向きなおしてペナルティーエリア内まで侵入して右足シュートを放ち、相手にも当たったボールがゴールへ吸い込まれた。これが決勝ゴールになってチームを勝利に導いたが、小森は「あれは良い動きだったですね。センターバックも多分、その動きによって色々迷ったと思うので、すごく良い動きだったと思います」と、早川が背後へ抜けだしていったプレーについて話した。
早川のポジションは、仮に小森のシュートがGKに弾かれても高い確率で詰められそうなものだった。自身も「あの時キーパーが触っていたとしても自分しかいなかったと思うので、その時は自分が決めることはできていたのかなと思います」と話している。そうした意味でも、一石二鳥となる動きだった。
今季、トップ下をメインに出場してリーグ戦で7得点しているMF渡邊凌磨が、7月23日の湘南ベルマーレ戦で負傷交代して戦線を離脱している。トップ下はサヴィオが務めることが多いが、ボールを受けに下がることや自身の前を広く使えるようなポジション取りをすることが多いだけに、早川が見せた中央突破のパターンとして背後に抜ける動きは浦和に欠けているものだった。
自身が「(前線に)スペシャルな選手が多いので、その選手たちをどうやって生かすか、どういう風にやりやすいように動くかっていうのは自分のボールを関与をしていないところでの特徴だと思っている」と話すように、早川は周囲を生かしつつゴール前での決定的な場面に絡んでいく良さを見せた。ここまでチャンスに恵まれてこなかった19歳だが、シーズン後半戦に浦和の攻撃を活性化させるヒントを体現するようなプレーを見せていた。



















