“闘魂の79タッチ” マンチェスター・U戦で証明された吉田麻也のクオリティ

 

世界級DFだからこそ味わう代表とクラブの狭間の葛藤

 

 

 まさしく闘魂の79タッチだった。9月20日に行われたプレミア第5節スウォンジー戦以来、10試合ぶりとなったリーグ戦先発。しかも相手は、マンチェスター・U。ベルギー代表DFアルデルバイレルトが前節アーセナル戦終了間際に負傷し、約3か月振りにスターティング・メンバーに名を連ねた吉田麻也だったが、そのプレーに久々の不安は全くなかった。

 しかし結果は非情だった。90分間でマンチェスター・Uをわずか3本のシュートに押さえながら、終ってみれば1‐2負け。サウサンプトンのシュートは15本を数え、決定機の質、量ともに、イングランドのトップリーグを20回制覇したチームを凌駕したにも関わらず、ファン・ペルシーのフィニッシャーとして世界最高峰といえる『個』の力にねじ伏せられる形になった。

 けれども試合後の麻也の表情には凛とした自信がみなぎっていた。確かに負けた。しかし、久々の先発で8月30日ウエストハム戦以来の90分フル出場を果たし、マンチェスター・U相手にプレミアのフットボールを満喫した男の顔には、ある種の爽快感さえ漂っていた。

「久しぶりの先発だったけど、45分、60分と出てから今週を迎えたんで、コンディション的には問題なかった。(試合に関しては)僕らの方がチャンスを多く生み出したと思う。相手は、ゴールした場面以外は、なにかをクリエイトしたというわけではなかった。自分たちのミスとセットプレー(での失点)はすごく残念。けれどもこういう試合ではぎりぎりのところが大事になってくる。本当、ファン・ペルシーとかルーニーはそういうところを見逃さない。そういうところなんだよね、結局」

 最後の「そういうところなんだよね、結局」というところでは、わずか2本のオンターゲットシュートで2点を奪ったファン・ペルシーの決定力に対する敬意と憤懣が入り混じり、自然と声のボリュームが大きくなった。

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