元スペイン代表レジェンドMFが見た日本代表「規律と秩序があり苦労した」 日本人選手の成長を評価「高いレベルになっている」
【独占インタビュー】日本代表戦で決勝弾の元スペイン代表MFルベン・バラハ氏を直撃
カタール・ワールドカップ(W杯)で、日本代表の運命を決めるかもしれないグループリーグ最終戦(12月1日午後10時/日本時間2日午前4時)の相手はスペイン代表。過去を遡ると、フル代表レベルでの両国の対戦が一度だけある。フィリップ・トルシエ監督に率いられた日本は、2002年日韓W杯へ向けて準備を進めていた01年4月25日の国際親善試合(コルドバ/スペイン)でスペインと対戦し、終了間際アディショナルタイムのゴールで0-1と敗れた。21年前の一戦で決勝ゴールを決めた元スペイン代表MFルベン・バラハ氏(当時バレンシア所属)を直撃し、当時の状況や日本代表について話を聞いた。(取材・文=島田 徹/全3回の1回目)
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――2001年4月25日に行われた日本対スペインの一戦について覚えていることは? あなたは途中出場し、アディショナルタイムにこの試合唯一のゴールを挙げた。
「とても素敵な思い出だ。あの試合は、あのスタジアム(ヌエボ・アルカンヘル)での初めての代表戦だった。私は代表でのキャリアを始めていたところ。試合は拮抗していて、スペインにはチャンスがあったけどゴールという結果が出ていなかった。そして試合が終わりかけていた最後のプレーで、サイドから中へのパスに反応し、後方からエリアへ飛び出した私が決勝ゴールを決めた。スペインと日本が初めて対戦したゲームで、あのゴールを挙げることができたのを誇りに思うし、大きな愛情とともに覚えているよ」
――この対戦の前に日本、または誰か日本人選手のことを知っていた?
「あの頃、イタリアにいた中田(英寿)のことは誰もが知っていたけど、他にも4、5人の重要な選手たちがいた。我々もビデオで見ていたが、日本は競争力のあるチームで、フィジカル的にも一定の強度があり、高いプレーリズムがあった。日本というチームはいつでも規律と秩序があり、あの試合は最後まで難しく、勝利するのに苦労した」
――出身地であり下部組織からトップチームまでたどり着いたバジャドリードでは、元日本代表FWの城彰二氏と一緒にならなかった。
「残念ながらね。彼は私がもういない時にバジャドリードでプレーしていた。ただチームメイトだった仲間から話は聞いているよ。彼はとても好感が持てる魅力的な人物で、彼と一緒にやれるのを歓迎していた」
――当時、日本との対戦1か月前、スペインはW杯、そして欧州選手権に優勝していたフランスに2-1で勝利した。メスタージャ(バレンシア)で、ジネディーヌ・ジダンやティエリ・アンリらと顔合わせのあと、W杯1回出場のアジアの国・日本と、しかも地方都市で戦うという状況だったわけで、同じモチベーションではなかったのでは?
「モチベーション面で難しかったのは確かだ。通常ヨーロッパの国と戦う時には要求度がより高くなる。フランスはいつでも立ち向かっていくべき存在で、そのうえ世界、そしてヨーロッパのチャンピオンだった伝説的なチーム。バレンシアのチームメイトで今はフランス代表監督のディディエ・デシャンもいた。要するに、スペイン代表の試合はどういうものでも素敵なもの。そのうえ相手のポテンシャルが高ければ、その程度はもっと高くなるということ」
島田 徹
1971年、山口市出身。地元紙記者を経て2001年渡西。04年からスペイン・マジョルカ在住。スポーツ紙通信員のほか、写真記者としてスペインリーグやスポーツ紙「マルカ」に写真提供、ウェブサイトの翻訳など、スペインサッカーに関わる仕事を行っている。