アジア杯MVPから1年で現役引退 両親から説得も…一線を退く決意「辞めるつもりだった」

女子フットサル代表の追野沙羅【写真:河合 拓】
女子フットサル代表の追野沙羅【写真:河合 拓】

女子フットサル代表の追野沙羅が明かした引退を決断した理由

 2025−26シーズンは、女子フットサル界にとって大きな節目の一年だった。史上初めてFIFAフットサル女子ワールドカップが11月から12月にかけてフィリピンで開催され、日本女子代表は準々決勝まで勝ち進み、ベスト8となった。

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 日本の女子フットサル選手には、プレーするだけで生計を立てられるプロ選手はいない。そのため、若い選手がシーズン終了時に引退を発表することも多いが、それでも27歳のFP追野沙羅(SWHレディース西宮)は驚きだった。

 フィリピンのW杯メンバーでもあった追野は、W杯予選を兼ねていたAFC女子フットサルアジアカップ(女子フットサルアジア杯)中国2025で日本を優勝に導く活躍を見せ、大会の最優秀選手賞を受賞。名実ともにアジアナンバーワンプレーヤーになってから、1年も経たずに現役引退を表明したのだ。

 追野は現在2月21日から23日まで北海道の釧路で開催されている第22回全日本女子フットサル選手権に出場している。この大会が、彼女の現役最後のプレーする場となる。大会初戦の東北代表ボンサジェス戦(17−0)の試合後、追野に引退の理由を聞くと「(決断する)きっかけは、プライベートであったんです。もともとこっち(富山から西宮)に来た時は、こんなに(キャリアが)短くなるとは思ってなかったのですが、プライベートにきっかけがあって、本当は去年のうちに辞めるつもりだったんです」と、明かした。

 高校年代の時にサッカーとフットサルを平行してプレーした追野は、2018年にアルゼンチンのブエノスアイレスで開催された第3回ユースオリンピックに出場したU-18フットサル女子日本代表に選出されて人生が大きく変わった。この大会で日本はポルトガルに次ぐ準優勝に輝き、追野はフットサルを本格的にプレーするために実家のある富山を出て、女子フットサルの名門である西宮へ加わった。

 2024-25シーズン限りでの現役引退を決意して家族に相談した追野だったが、両親からは「初めて開催されるW杯もある。あと1年はやったほうがいいんじゃないか」と背中を押してくれて、現役生活を1年伸ばしたのだった。

「去年もそうでしたが、1年1年『ここまで』『ここまで』と思ってやってきました。自分自身、女子フットサルアジア杯、W杯も経験して、W杯は悔しい結果でもあるんですけど、良い節目にはなったと思っています。W杯後、もう1年やることも考えたのですが、ズルズルと続けることになりそうだなと思ったので、ここで引退する決断をしました」と、自身が得た経験をプレーすることで還元していくことも考えたが、自身のプライベートで起きていることを考慮して、一線を退く決意を固めたのだった。

 初めての海外渡航でもあったユースオリンピックを、これまでのキャリアでの一番の思い出に挙げた追野は、「現在、JFAでフットサルの指導者の育成をしている前川義信さんが富山に指導者としてきて、私の所属していたラオフェンの酒井(美貴)コーチが(前川氏をチームに)受け入れてくれて。そうしたいろんなタイミングが重なって、自分がこれまでフットサル人生を歩めたことは、本当に感謝しています」と笑顔で話した。

 キャリア最後の大会となる全日本女子フットサル選手権の初戦、ボンサジェス戦の終了直後、追野は対戦を終えたばかりの相手からサインを求められ、記念写真の撮影にも応じていた。国内の女子フットサル選手達の憧れの的となったのも、彼女の努力があったからだ。W杯を振り返り、「ポルトガルやブラジルと戦って、点差は開いてしまいましたが意外とやれるなと思いましたし、ブラジル戦は本当にすごく楽しくて、『またやりたいな』という気持ちは出ていましたが、ズルズル引きずるのは嫌なので」と、現役続行の思いを振り切るように繰り返した。

 キャリアの最後、西宮で2大会ぶり4度目の日本一を目指す追野は「決勝まで行きたいです。でも、勝ちにもこだわりたいんですけど、一戦一戦みんなと楽しむことが、自分が一番こだわりたいなと思っているところです」と、残り準決勝、決勝もしくは3位決定戦と残り2試合となったキャリアを、楽しんで終えることを宣言した。

(河合 拓 / Taku Kawai)

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