久保建英の数字と変化が示す“ソシエダ成功”の要因と代償は? 怪我人続出も相手を窒息させる新たな武器が機能

順調なシーズンを送っているレアル・ソシエダ【写真:ロイター】
順調なシーズンを送っているレアル・ソシエダ【写真:ロイター】

【スペイン発コラム】苦しい選手事情も久保が強調「すごく学ぶものがある」

 レアル・ソシエダは今季ここまで順調にきているが、負傷者続出という大きな問題を抱えている。平均するとほぼ毎試合、怪我人が出ている計算となる。

 この問題はシーズン開幕時から噴出している。ラージョ・バジェカーノから期限付き移籍を終えて戻ってきたFWマルティン・メルケランスは昨年9月の左膝負傷により登録外。FWミケル・オヤルサバルは今年3月に左膝前十字靭帯断裂の重傷を負い、最近、全体練習に復帰したばかり。さらにFWカルロス・フェルナンデスとDFアレックス・ソラが負傷した状態で、新シーズンをスタートした。

 さらに11月20日開幕のカタール・ワールドカップ(W杯)による過密日程の影響を受け、その後も怪我人が絶えない。特に、ニューカッスルに移籍したFWアレクサンデル・イサクの代役として、クラブ史上の移籍金最高額で加入したFWウマル・サディクが3試合目にして右膝前十字靭帯断裂の大怪我を負い、今季絶望の可能性があることは、チームにとって大きな痛手となった。

 今季ここまで、昨季から問題を抱えるメルケランスとオヤルサバルに加え、DFではソラ(2回)、イゴール・スベルディア、ロビン・ル・ノルマン、アイエン・ムニョス、ディエゴ・リコの5人、MFではダビド・シルバ、アンデル・ゲバラ、ベニャ・トゥリエンテスの3人、FWではモハメド=アリ・チョー(2回)、サディク、カルロス・フェルナンデス、アンデル・バレネチェアの4人が負傷した。すなわちトップチームの半数以上の選手たちが、なんらかの怪我により戦線離脱を余儀なくされているのである。

 一方、久保は直近のオモニア戦で痛めた左肩が気がかりだが、ここまで一度も負傷欠場はなく公式戦全試合に出場している。先週末のバジャドリード戦後にインタビューを受けた際、慢性的に多くの怪我人を抱えている状況について、「ローテーションできないポジションが増えてきて、今日は左サイドバックの控えがいなかった。ローテーションできないポジションがあるのは監督からしたら悩みの種」と見解を述べ、苦しいチーム事情を明かしていた。

 また、バジャドリード戦で公式戦9試合ぶりの敗北を喫した主な原因が、疲労や多数の怪我人を抱えていることによる選手層の薄さと考えられている点については、「今日の負けは疲れが原因と見られても仕方ないが、それでも調子のいい選手もいる。疲労を言い訳にしないチームメイトの姿勢には、僕もすごく学ぶものがある」と、疲労があることは認めつつも、チーム全体の士気が高いことを強調した。

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高橋智行

たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。

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