久保建英の数字と変化が示す“ソシエダ成功”の要因と代償は? 怪我人続出も相手を窒息させる新たな武器が機能

久保がここまで残している昨季に迫る数字、光る献身的な姿勢や守備での貢献度

 またソシエダが今季、どれだけ激しく戦っているかは、久保のファウル数を見てもよく分かる。

 久保はマジョルカ時代の昨季、ラ・リーガ28試合(先発17試合)、1606分間の出場で、全体のファウル数は17回(94.5分ごとに1回)だった。守備に専念する時間が長く、無理せざるを得ない場面もあり、イエローカードを4枚もらっていた。

 一方、今季は基本的にFWで起用され、守備時は前線でのプレスが主な仕事になっている。ここまでラ・リーガで11試合(先発10試合)、769分出場しているが、ファウル数はすでに昨季に迫る12回(64.1分ごとに1回)。ファール数が増加している理由として、久保が試合開始直後から休むことなくボールを持った相手に対し、ギリギリまで身体を寄せに行っていることが挙げられるだろう。またこれは、久保の献身的な姿勢や守備での貢献度を示すものとも言える。しかし汚いファウルは一度もなく、まだイエローカードを1枚ももらっていない。

 ソシエダはここまで十分な結果を残してきた。しかし現在、先月の国際Aマッチ期間後からワールドカップ(W杯)開幕前までにかけ、約40日間で13試合、3~4日ごとに1試合という非常にタイトなスケジュールを強いられており、怪我人続出による選手層の薄さや疲労蓄積が懸念材料として挙がっている。実際、その影響を受け、後半に息切れしてハイプレスが続かず、相手に主導権を握られることが何度かあった。

 このあと、ベティスやマンチェスター・ユナイテッド、セビージャなどとの厳しい対戦をまだ控えているなか、アルグアシル監督が絶好調ながらも疲労困憊のチームをどのようにマネジメントし、W杯によるラ・リーガ中断期間を迎えられるかが注目となるだろう。

(高橋智行 / Tomoyuki Takahashi)



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高橋智行

たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。

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