「俺、もう引退する」 元日本代表MF水野晃樹、一度は諦めかけた現役続行――社会人移籍へ傾けた妻の「まだ見たい」の言葉
【インタビュー#4】社会人リーグのはやぶさイレブンで新たな挑戦、今見える“景色”とは?
元日本代表MF水野晃樹は今年、アマチュアリーグへ移籍した。昨年末にSC相模原を退団し、新天地へ選んだのは社会人リーグのはやぶさイレブン。一度は現役引退へ傾きかけた気持ちを、再び呼び戻してくれた妻の言葉、そして、新たな挑戦へ歩んだ中で見えてきたもの、学び取ったものとは?(取材・文=Football ZONE web編集部・橋本 啓/全4回の4回目)
【PR】ABEMA de DAZN、明治安田J1リーグの試合を毎節2試合無料生中継!
◇ ◇ ◇
現在36歳の水野は、静岡県の名門・清水商業高校(現・清水桜が丘高校)から2004年にジェフユナイテッド市原(現千葉)へ加入した。プロ2年目以降に頭角を現し、05、06年とナビスコカップ(現ルヴァンカップ)連覇を経験。07年には日本代表メンバーへの初招集、A代表デビューも飾っている。
そんな順風なキャリアも、2008年の海外移籍(スコットランド1部セルティック)以降は膝の怪我に泣かされ暗転。Jリーグ復帰後も、満足いくシーズンを送れていない。昨年まではプロの舞台で奮闘も、所属していた相模原(当時J3)からついに契約満了を言い渡された。
理想はプロでの現役続行も、サッカーを続けられればいい。そう思いつつ新天地を探したが、コンディションや年齢的な問題から手を挙げるクラブは現れない。脳裏には「引退」の二文字がよぎっていた。そこで救いの手を差し伸べたのがはやぶさイレブンだった。しかし水野は、そのオファーをすんなりと受け入れられずにいた。
「やっぱり自分の中では、『第一線でやりたい』っていう気持ちはありました。ただ、昨年の10月に両膝の手術をしたんです。8月に右膝を痛めて、本当はその状態でも1年頑張ろうと決めていたんですけど、10月になったら左膝も同じく痛めてしまって検査した結果、両膝とも半月板を痛めていると。
両足やっていたらもうプレーできないのでしょうがなく手術したんですけど、そうしたら相模原との契約が終わってしまって。12月のトライアウトも受ける気でいたんですけど、10月に手術をしていたので間に合わなかったんです。
コロナ禍でどのクラブも経済的に苦しく、ベテラン選手で、手術したばかりというリスクある選手を獲ろうというチームなんてあるわけないじゃないですか。代理人も必死に探してくれたし、自分でもいろんな伝手をつかって話を訊いてもらったんですけど、結局駄目で。
そうなった時に、はやぶさイレブンが見つかって。ただ、家族を持つ身として社会人まで行って、プレーしていて良いのかっていう葛藤があり、自分の中で糸が切れたというか、『あっ、もうこれは引退したほうが良い』っていうふうになってしまったんです。