「俺、もう引退する」 元日本代表MF水野晃樹、一度は諦めかけた現役続行――社会人移籍へ傾けた妻の「まだ見たい」の言葉

心掛けているのは理不尽ではなく、理由付けをした指導方法

 でも難しいですよね、今の時代は。厳しい指導がよく問題になってますけど、僕らはそれが当たり前だと思って育ってきたので。僕なりの考え方で言うと、そこを通ればプロになれると思っていたし、厳しい練習、メンタルの中でも耐え抜けたというところにつながっていたんです。

 ただ、今の世の中的には理不尽な教え方では良しとされませんから、僕はしっかり理由付けするようにしてるんですよ。例えば、練習の最後にグラウンドを走らせているんですけど、『相手より足速いほうがいいでしょ? 足速かったら、ドリブルでも相手を簡単に抜けるよ』『スタミナあったほうが、後半相手がバテている時に自分のほうが動けたら得じゃない? それで試合勝てない?』という感じで。

 一つ一つ理由をつけて、そのなかで『じゃあなんで走るのか』っていうのを教えながらやらせてます。僕らの時代はそこまでなく『負けたら走れ』ってなるじゃないですか。今それやったらなかなか難しい部分ではあると思うんですけど、しっかり理由付けをしてあげたら子供たちも理解できると思うんで、必要最低限のことはやらせようかなと思ってますけどね。

 そうやって自分が教えた選手が将来的にプロになって、『昔、こういうコーチに教えてもらっていたんだよ』って言ってもらえたら嬉しいですね」

[プロフィール]
水野晃樹(みずの・こうき)/1985年9月6日生まれ、静岡県出身。清水商業高―市原―セルティック(スコットランド)―柏―甲府―千葉―仙台―鳥栖―熊本―相模原―はやぶさイレブン。スピードと正確なキックが特徴のアタッカー。今年2月から神奈川県社会人サッカーリーグのはやぶさイレブンでプレー。日本代表通算4試合・0得点

(FOOTBALL ZONE編集部・橋本 啓 / Akira Hashimoto)



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