盤石の世界王者ドイツ 圧倒的なボール保持とクリア数わずか「9」に見る“全方位型サッカー”の進化

ボール奪取数でも相手を上回る

 攻撃はかなり特徴的だったが、ドイツは守備のデータからも効率的な攻撃につなげるヒントとなるデータがある。その一つはクリアの少なさだ。クリアは相手から攻められている状況で、奪ったボールを、自分のピンチのエリアから遠ざけるために、ほぼ100%の確率で相手に渡すプレーだ。そのタイミングでクリアでなく味方につなげることができれば、絶好の守備から攻撃への切り替え、カウンターアタックのチャンスになる。ドイツのクリアの少なさは、カウンターのチャンスを生かすプレーを増やすことにもつながる。

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 60.9%と相手よりも圧倒的に高いポゼッション率を誇るにもかかわらず、タックル数が多いことも、もうひとつのヒントだ。ドイツは攻守において各選手の距離が近い。タックルの成功率は低いものの、仮に失敗してもタックルというハードなプレーの後に、より体勢の良い状態でカバーに入っている選手がボールを奪い、攻撃に繋げるという効率のいいプレーが可能になる。

 グループステージ第3戦で若干足踏みをした印象を与えたドイツだったが、攻守両面で圧倒的な数値を示すその強さは、やはり本物だ。準々決勝では、前回のEUROで負けたイタリアとの対戦が決まっている。スペインのパスサッカーを遮断し快勝したイタリアとの一戦からは、2018年ロシアW杯の主流となる戦術の芽が必ず見えるはずだ。

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データ提供元:opta

【了】

ゾーンウェブ編集部●文 text by ZONE web

 

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