盤石の世界王者ドイツ 圧倒的なボール保持とクリア数わずか「9」に見る“全方位型サッカー”の進化

クロス数25本も攻撃の3割が中央突破

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 パス数が多いチームは自陣でのパス本数が多いが、ドイツの場合は70%弱が相手陣内でのパスだ。総パス数が390本しかなく、相手陣内でのパスがその約40%の160本のスロバキアと、ゲームの構成力に大きな差が出るのは当然だ。

 ドイツのポゼッションエリアの85%以上が、ミドルサード、アタッキングサードのエリアとなっている。さらに、アタッキングサードへの侵入数を見ると、相手の約2倍になっており、ペナルティーエリア内侵入数は4.5倍だ。

 ペナルティーエリアに侵入するプレーのうち、25回はオープンプレーでのクロスが関係している。ドイツの攻撃の基本は足元のテンポの良いパス回しで、相手ゴール前にボールを運んでゴールに近いエリアでシュートを放つ。この25本のクロスは、単に放り込むという非効率なラストパスが目的ではない。ドイツは2014年のW杯での得点パターンとして、ペナルティーエリア内での得点確率が圧倒的に高いこと。そのエリアでのシュートをより確実にするためにはシューターに向けたパスか、速いタイミングでのクロスが有効だと分析した。今回ドイツが、それを徹底的に意識した結果がデータに表れている。

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 25本ものクロスを上げていれば外からの攻撃に偏るはずだが、実際はそうなっていない。外→外に行くのではなく、中央への速い攻撃、外→中への崩しが多いのもドイツの特徴だ。アタッキングサードの攻撃ゾーンのデータを見ると約3割が中央からの攻撃だ。

 

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