盤石の世界王者ドイツ 圧倒的なボール保持とクリア数わずか「9」に見る“全方位型サッカー”の進化

 

ロングパスの比率は全体の10%

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 まずは今大会のドイツの初戦となったウクライナ戦とスロバキア戦の、シュートに関するデータを比較してみよう。ハイボールで勝負するより、足元で崩すのがベースのパターンなので、シュート数に対してヘディングシュートの比率が10%前後と少ない傾向は変わっていない。ペナルティーエリア内からのシュートの比率が61%から67%に増加している。ただ枠内シュートの比率が下がっているが、決勝トーナメントに勝ち上がってきたスロバキアとの試合なので、グループステージ初戦以上に相手の守備意識が高かったのだろう。

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 続いてスロバキア戦のパス数と、相手ゴール付近への侵入回数のデータだ。スペインはロングパスの比率が5%前後を示すチームだが、それはかなり稀なケースだ。そのスペインほどではないにせよ、ドイツの10%という数値も決して多い方ではない。常にポゼッション率60%を超えるドイツは、ミドルレンジとショートレンジのパスでゲームを作っていく。

 数少ないロングパスも、多くのチームでは後方でのサイドチェンジ、後方から前方にただ放り込むようなものが多いが、ドイツのロングレンジのパスは、中央を切り裂くような縦への速いパスが多いのが特徴だ。中盤でボールを持っている時、あるいは守備エリアでボールを奪い返した時に、前方の選手が相手の隙間で受ける動きが優れているからこそ出せるパスだ。

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