「オシムさんは型にはめなかった」 元日本代表MF水野晃樹、アマチュア契約から20代前半で飛躍…ジェフ時代に花開いた理由

プロで成功できるかどうか、その違いは慢心しないこと

 水野は2004年から4シーズン過ごしたジェフ時代、主力としてタイトル獲得に関わり、06年のナビスコカップ優勝時には、鹿島アントラーズとの決勝で先制ゴールを叩き込み、大会優秀選手(MVP)にも輝いた。

 年齢的には20代の初め。当時の水野は希望に満ち溢れていた。08年には念願だった海外移籍も果たし、順風なキャリアを謳歌するよう見えた。しかしその後、怪我に泣かされ挫折を味わうサッカー人生を歩んだなか、若かりし頃の自分にかけたい言葉は何か。

「もっと、1日1日を大切に過ごして欲しい、というのを伝えたいです。今振り返ると、ある程度満足してしまっていたところが少なからずあったので。サッカーに対する欲がもっとあれば、たぶんもう少し最前線でプレー出来ていたんだろうなって思うんです。

 試合に出て得点やアシストして、調子に乗っていたところは正直、ありました。そこを周りの選手に抑えてもらっていた部分もあったんです。もっともっと突き詰めていけたらと、心残りというか、若い頃の自分に対してはそういう言葉をかけたいなというのはありますね。

 今思えば、若いうちから試合に出られなくても、日々の積み重ねを大切にしていた選手というのは、やっぱり選手として長生きできていますよね。実際、僕以上に上手かった選手はいっぱいいましたし、『なんで試合に出られないんだろう』と思ってしまう選手もたくさんいました。

 それでも試合に出られないってなった時に、その違いは何かと言われればやっぱり、使われない時期でも腐らずにやるってことだと思います。どんな状況でも慢心しないこと。

 あとは人間性もすごく大事かなと。いち社会人の中でのサッカー選手であるので、そこの振る舞いはしっかりしていないと、良い人たちが周りに寄ってこないでしょうしね。使われなくて不貞腐れた態度をしてしまうと、チームの雰囲気も悪くなる。もしベテラン選手がそれをしてしまうと、若手にとっても良い姿にはならない。

 僕も若い時は先輩方から厳しく指導いただいたんですけど、そういう部分があったからこそオシムさんのもとで上手くプレーできていたんだと思うんです。自分でも調子に乗ってしまうタイプだなというのはあって、そういう時に常に厳しい言葉をかけてくれたチームメイトがいたんですよね。だからこそ、しっかりと振舞えたと思うので、人間性というのは必要かなと思います」

(インタビュー#2へ続く)

[プロフィール]
水野晃樹(みずの・こうき)/1985年9月6日生まれ、静岡県出身。清水商業高―市原―セルティック(スコットランド)―柏―甲府―千葉―仙台―鳥栖―熊本―相模原―はやぶさイレブン。スピードと正確なキックが特徴のアタッカー。今年2月から神奈川県社会人サッカーリーグのはやぶさイレブンでプレー。日本代表通算4試合・0得点
[ftp_del]

[/ftp_del]

(FOOTBALL ZONE編集部・橋本 啓 / Akira Hashimoto)



今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング