『おでんくん』が結んだ縁と“夢中”で駆け抜けた400試合 リリー・フランキー×森重真人対談【前編】

大人用紙おむつと目標1000試合出場への上方修正

リリー サッカー以外のことでチャレンジしなくちゃいけないと感じたのは、どういうことなんですか?

森重 自分が好きなサッカーだけをずっとやってきたので、ピッチの外でも「社会や、地域とつながり、貢献できるのか」を考えるようになりました。また違った視点を持つことで視野も広がったと思います。

リリー 僕や森重さんが一生懸命やってきた芸術やスポーツの根底には、社会貢献が含まれていると思うんです。これまでは、ほとんど意識せずにそうなっていたかもしれません。ここから次は、意図してそれをやらないといけない。そういうキャリアや年齢になったのかなと感じています。

森重 それはコロナがきっかけになったのか、自分自身が34歳になったからなのか、どちらか分からないですが、そういうことも考えるタイミングだったと、僕も思います。

リリー 高齢化が進む世界では、長くプレーし続ける選手が与える勇気は、もっと大きなモノになってくると思います。なので、森重さんには本当に1000試合出場を目指してもらいたいですね。

森重 1000試合ですか……。骨と皮だけになりますね(笑)。

リリー 今回もこうやって話ができてすごくうれしかったし、森重さんには『おでんくん』を育ててもらったという感謝の気持ちもあります。自分がじいさんになって歩けなくなっても、「うわぁ、まだ森重さんはピッチに立ち続けている」って驚かせてほしい。それは一番の夢であり、ファンタジーだと思うので、森重さんには少々大変な人生を強いているようですが、すごく期待しています。その頃には『おでんくん』と大人用紙おむつや介護グッズをコラボグッズとして出しましょうね(笑)。

森重 いいですね。目標は、自分の思っている一つ上、二つ上を目指さなきゃいけないと思うので。これからは1000試合を目指すと公言しながら、1200試合出場を目指していきます。

[PROFILE]
リリー・フランキー(本名・中川雅也)
1963年11月4日、福岡県生まれ。イラストレーター、文筆家、写真、作詞・作曲、俳優など、多分野で活動。2005年に発表した長編小説『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』は2006年本屋大賞を受賞、絵本『おでんくん』はアニメ化もされた。主演作『万引き家族』がカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞。公開中の映画『その日、カレーライスができるまで』では初の一人芝居に挑戦。来年公開の日英合作映画『コットンテール』に主演。

森重真人(もりしげ・まさと)
1987年5月21日、広島県生まれ。2006年、大分トリニータに加入し、08年に北京五輪出場。10年にFC東京に移籍し、14年のブラジルW杯にも出場。1対1の強さ、打点の高いヘディング、ビルドアップ能力をあわせ持ち、セットプレーから高い得点能力も発揮する。Jリーグベストイレブンには5度選出されている日本屈指のセンターバック。日本代表としては国際Aマッチ41試合出場。183センチ、79キロ。血液A型。
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(馬場康平 / Kohei Baba)



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