“新旧”名ボランチの思考、「判断力」が勝負を分けた瞬間とは? 福西崇史×山口蛍対談【前編】

ボランチがピッチ上で見せる判断力は「もっと高く評価されるべき」

山口 でも、こういうシーンって、点を決めた人しかフォーカスされないですよね(笑)。こういうところを分かってくれる人は、ほとんどいません。それはそれでいいと思っているのですが、福西さんみたいに分かってくれる人がいるだけでも、僕はちょっと嬉しいです(笑)。

【注目】白熱するJリーグ、一部の試合を無料ライブ配信! 簡単登録ですぐ視聴できる「DAZN Freemium」はここから

福西 ハイライトでも、マシカ選手にボールが出たところからしか出ていないと思いますが、このプレーは本当に重要だったと思います。僕もボランチをしていたので「いや、これは凄いな、どこで判断したのかな?」と思って今日は話を聞くのを楽しみにしていました。もちろんゴールを決めることも大事ですが、この場面のように、その前にどういうことがあったのかを知ってもらえば、サッカーをより楽しく、深く見てもらえると思いますし、実際にこのプレーがなければ、このゴールはないので高く評価されるべきだと思いますね。

山口 ありがとうございます。でも、目立たなくてもいいんですけどね(笑)。

福西 いえいえ、もっとアピールしていいと思いますよ。このプレーの意図をみんなに伝えることができれば、サッカーをしている人も、プロを目指す人も、見ている人も「だから、こうやってボールがつながったんだ。面白い」という発展につながると思うので、今日はお話を伺えて良かったです。神戸が今、結果が出てきて、安定してきているのも、攻撃と守備のつながりが出てきて、成績にもつながっているんだなと感じました。

山口 その通りだと思いますが、まだ周りに言われるほど上手くいっていないことも多いんです。今、この順位だから、ちょっとごまかされている部分が攻撃にも守備にもあるので、そこはもうちょっと良くしないと上には食らいつけないかなと個人的には感じています。まだまだ、そこが改善されて、チームとしてもっと一体感を持てれば、もっと結果はついてくると思います。

福西 そうなった時は、選手の表情に余裕が出てくると思いますよ。今のところは、やれることはやって、結果が出ていると思うのですが、これがある程度、自分たちのペースで守備も攻撃もできるようになれば、もっと神戸の選手たちの表情に楽しさだったり、余裕だったりが出てくると思います。

山口 そうですね。もっと楽しくできるなと思うので、そうなるように改善させていきたいですね。

福西 伸びしろは、すごくあると思いますよ。イニエスタ選手、サンペール選手、山口選手を含めて、中盤でもっとボールを回す展開も増えてくると思いますし、相手を翻弄できるチーム力があると思うので、これからチームとして、もっとそういう選択が相手によってできてくると思うので楽しみにしています。

(後編へ続く)

[プロフィール]
福西崇史/1976年9月1日生まれ、愛媛県出身。95年にFWとしてジュビロ磐田に加入すると、プロ入り後にボランチへコンバートされ黄金時代を迎えたチームの中盤を支えた。J1通算349試合62得点の成績を残し、Jリーグベストイレブンも4度受賞。日本代表としても国際Aマッチ64試合7得点を記録し、2002年日韓大会、06年ドイツ大会とワールドカップに2度出場した。04年アジアカップでは優勝を経験している。

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング