“新旧”名ボランチの思考、「判断力」が勝負を分けた瞬間とは? 福西崇史×山口蛍対談【前編】

山口蛍がイニエスタとのプレーについて語った【写真:Getty Images】
山口蛍がイニエスタとのプレーについて語った【写真:Getty Images】

イニエスタとプレーできるのは「刺激になるし練習から本当に凄い」

――現在、神戸にイニエスタ選手がいるように、福西さんの時代のジュビロ磐田にもW杯で優勝したドゥンガ選手が在籍していました。世界的な名プレーヤーが1人、チームにいることで感じる効果はありますか?

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福西 僕は大きいと思っています。先ほど、山口選手も話していましたが、彼を生かすための間合いをつかんだり、彼に合わせることができるようになれば、日本の選手のレベルアップにもつながると思います。ドゥンガがいた時も、彼のやりやすいように周りがプレーできるようになるまでは、多少、時間がかかりましたね。これは山口選手も同じではないですか?

山口 そうですね。バルサの時からアンドレスのプレーはすごく見ていたので、『こういうプレーがしたいんだろうな』というイメージはめちゃくちゃ持っていたんです。でも、いざ合わせるとなると僕だけではなく、チームのみんなもすごく時間がかかったと思うんです。僕が加入した時はアンドレスだけでなく、ルーカス(・ポドルスキ)もいたので、より難しかったですね。その2人もまた全然、性格も含めて違ったので、難しかったのですが、そこが噛み合った時は本当に良かったなと。彼らと日々の練習から一緒にできるのは、刺激にもなりますし、練習から本当に凄いんですよ。僕たちは真似もできないレベルにいて、普通にポゼッションの練習でも取られないですし、「そこを見ているんだ」とか、「そこでターンできるんだ」というのが、すごくたくさんあるんです。それは見ていて、もう楽しいですよね。

福西 その感覚は分かりますね。僕もそうでした。試合に出始めた時は、ボール回しに入れなかったので、試合の中でも見ていましたよ。ある意味、そこに入りたくもなかったんです。失敗して取られるのも嫌だったので、結構、隠れていましたね(笑)。では、2つ目のシーンに行きましょう。4点目の場面です。サンペール選手の縦パスから古橋選手が抜け出した場面も素晴らしいのですが、その前の山口選手も絡んだビルドアップもとても良かったです。この場面、覚えていますか?

山口 覚えています。初瀬亮からボールをもらってターンして、斜めのパスを郷家に当てました。その郷家の落としからサンペール、(古橋)亨梧への縦パスとつながった場面ですね。

福西 郷家選手に縦パスを入れた時に、すでに古橋選手までボールが渡るイメージがあったのでしょうか?

山口 亨梧の動きも見えていました。最近の傾向として、亨梧が裏に抜けて、試合展開もそうなのですが、裏ばかりを狙い過ぎていることが多くて、それでボールを失うこともこの数試合、多いなと感じていたんです。それが多いとチームもしんどい。だから、亨梧に出せるシーンも結構試合中にあるのですが、あえて出さなかったのが、このシーンですね。

福西 なるほど。郷家選手に一度当てることで、相手の裏への警戒心を弱めさせて、押し上げさせる狙いもあったのですね。

山口 はい。

福西 さすがですね。古橋選手が行くからといって、バンバンそこに出し続けても、DFに意識されているので難しいですものね。ボランチならではの視点ですね。

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