“新旧”名ボランチの思考、「判断力」が勝負を分けた瞬間とは? 福西崇史×山口蛍対談【前編】

福西崇史氏がピックアップした「これぞ、山口蛍だ!」というシーンとは【写真:荒川祐史】
福西崇史氏がピックアップした「これぞ、山口蛍だ!」というシーンとは【写真:荒川祐史】

“これぞ山口蛍”のボール奪取「完全に読み勝ちできた場面」

福西 そして、最後のシーンが5点目の場面ですが、「これぞ、山口蛍だ!」というシーンです。自分たちのCKから一度は横浜FCにボールを奪われるのですが、高い位置で山口選手が奪い返して、そこからゴールが決まりました。自分たちのCKですから、最初は「点を取ろう」と思っていたんですよね? いつ、この守備に行く判断をしたのでしょうか。

山口 CKのこぼれ球を狙っている時は、キッカーが蹴るボールの軌道がニアに行けば、相手のクリアボールもニアに、ファーに行けば相手のクリアボールもファーに行くことが多いんです。それを頭に入れて準備しているのですが、このシーンでは相手が拾ったので、こぼれてこないなと思っていたので、自分の後ろにマークする相手がいるのも見えていました。ボールを持っている選手を見ながら「パスを出してくるな」と予測して、パスカットを狙いました。

福西 ボールがこぼれた時点では、右に体重移動していますが、相手がボールを持った時点では、重心が左に移動にしています。この時に守備に意識が切り替わったのですか?

山口 そうですね。僕の背後にいた相手選手は(小川)慶治朗だったと思うのですが、彼はスピードもあるので、足元ではなく裏のスペースにパスを出してくると判断しました。裏に蹴られた場合も、後ろに(酒井)高徳がいるから、その時は高徳に任せようと思っていたんです。前では自分が狙おうと思っていましたし、相手もこのパスを狙っていたので、完全に読み勝ちできた場面ですね。

福西 これで左サイドに出されていたら、完全に逆を取られていましたよね?

山口 そうです。ただ、相手がボールを蹴る瞬間に、左には蹴れないなと思いました。こういう時は相手の目線も見るのですが、慶治朗しか見ていない感じだったんです。それで「ここに出してくるな」という予測を立てることができていました。もしクリアされても高徳がいますし、その間に自分も全力で戻るので、対応に関しては問題ないなと思っていたので、前でボールを取りに勝負しました。

福西 その時の判断と状況を考えてのプレーだったんですね。これこそ、山口選手だということで、今回、選ばせてもらいました。山口選手は前でアグレッシブにボールを奪う印象があるのですが、そこは意識していますか?

山口 基本的に僕の考え方では、インターセプトであっても前に取りに行きたいんです。それが一番、ディフェンスとしての能力で大事なところかなと重要視しています。ガチャガチャと行って、体を当てて取るよりも、今は相手より前で取ってインターセプトをすれば、そのまま攻撃にも行けます。それが一番、守備から攻撃に切り替わるのも早いので、最近はなるべくそれを意識しながらプレーしています。

福西 なるほど。さらにスライディングして、ボールをアウトサイドで当てて味方につなげていますよね。

山口 はい。僕は結構、スライディングをする時は、刈り取るかパスをするかのどちらかなんです。スライディングをしているけど、味方につながっていないことは、あまりしない。スライディングしている時も、その後にパスが味方につながるようにスライディングをしています。だから事前に、どこに味方がいるかは見ているつもりです。

福西 最終的にサンペール選手のシュートがこぼれてDF菊池流帆選手のゴールになりましたが、山口選手は前方にいたサンペール選手ではなく、左斜め前のアユブ・マシカ選手にパスをしましたよね? この判断はどういうものだったのですか?

山口 やっぱりマシカは、あそこで1対1ができる選手じゃないですか? ここでセルジに渡すよりも、マシカに当てるほうがゴールにつながる確率は高いと思ったんです。

福西 パスが出た時点で取れることが分かっていたので、誰に出すかまで瞬間的に考えることができていたんですね。

山口 そうですね。自分が動き出した時に「取れる」ということが、確実に分かっていたから、その後をどうしようかというのを考えながらプレーしていました。

福西 この位置で奪い返してくれれば、味方は自陣まで戻らずに済みますし、何より点が入りますからね。このプレーは本当に評価されないと、チームにとっての大事な部分だと思いますし、こういうプレーが出ることが神戸が安定したところかなと感じますね。神戸の良さが、すごく出ていると思っています。

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