岡崎慎司は「クラブの象徴の1人」 ウエスカ地元記者を直撃、日本人FWの“熱意”に期待
【スペイン発コラム】エイバル乾&武藤との“日本人対決”はお預けも…現地で感じた岡崎への期待
現地時間7日に開催されたリーガ・エスパニョーラ第9節で、日本代表FW岡崎慎司が所属するウエスカが、MF乾貴士とFW武藤嘉紀を擁するエイバルをホームに迎える一戦が組まれたため、“日本人対決”を期待してウエスカへと向かった。フランスとの国境を隔てるピレネー山脈に近く、スペインでも寒い地域に位置し、人口は5万5000人程度と、日本代表MF久保建英が所属するビジャレアルとほぼ同規模の小さな町である。
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クラブ史上初の日本人選手として注目を集めた入団発表から1年以上が経過した今、岡崎の印象はこの町でどうなっているのだろうか。
「彼はこの町で人気者だよ。チームを1部リーグに昇格させた立役者の1人だしね。人間として素晴らしいし、そして何よりも人柄がいい」と答えてくれたのは、チームがホームゲーム時に利用するホテルのスタッフの1人だ。さらにウエスカのオフィシャルショップで、今季のユニフォームで特に売れている選手について聞くと、「ミケル・リコ、ホルヘ・プリード、そしてオカザキだ」と3選手の名前を挙げており、以前にも増して存在が大きくなっていることが感じられた。
ウエスカのホームスタジアム“エル・アルコラス” (7638人収容) で開催されウエスカ対エイバルの一戦は“日本人対決”が期待され、日本時間で22時キックオフと見やすい時間に設定されていた。しかし岡崎は約1カ月前のエルチェ戦で負傷した左足大腿二頭筋の回復が間に合わず、残念ながら招集メンバー入りできなかった。戦列復帰は代表ウィーク明けのオサスナ戦に持ち越されている。対するエイバルでは、乾がフィールドプレーヤーとして唯一、リーガ開幕から9試合連続の先発出場を果たした一方、武藤は3試合連続でベンチスタートとなった。
雨上がりのなか、キックオフからホームのウエスカが多くのチャンスを作るも決定力を欠いた隙を突き、エイバルが前半38分にDFエステバン・ブルゴスのゴールで先制した。その後、ウエスカが後半22分にFWラファ・ミルのヘディングシュートで追いつき、1-1で引き分けた。ウエスカはリーガ開幕から9試合連続未勝利で、ついに最下位に落ち、エイバルはここ2試合勝利がなく16位となっている。
4-2-3-1のトップ下でプレーした乾は前半、チームが劣勢だったため、前線からの守備に追われる時間が長く、攻撃でほとんど見せ場を作れなかった。また、前半28分にチーム最初の枠内シュートを打つも、ウエスカGKアンドレス・フェルナンデスに防がれた。
しかし後半途中の武藤投入後、ホセ・ルイス・メンディリバル監督がシステムを4-4-2に変更したことにより、慣れ親しんだ左サイドハーフにポジションを移すと見違える動きを見せ、立て続けにクロスボールを上げ攻撃の起点となった。最終的にゴールにはつながらなかったがフル出場し、今季のエイバルで重要な地位を築いていることを改めて証明した。
高橋智行
たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。