“ボランチ”長谷部誠の重要性を再認識 卓越した「プレーインテリジェンス」に独紙賛辞

フランクフルトMF長谷部誠【写真:Getty Images】
フランクフルトMF長谷部誠【写真:Getty Images】

【ドイツ発コラム】フランクフルトで再び存在感を高める長谷部、ELザルツブルク戦で圧巻のパフォーマンス

 フランクフルトはUEFAヨーロッパリーグ(EL)ラウンド32の第1戦で、ザルツブルクに4-1と快勝した。勝利の立役者はハットトリックの大活躍を見せた日本代表MF鎌田大地だが、そのなかでゲームを掌握しコントロールしていたのが元日本代表MF長谷部誠だ。どれだけの安心感をチームにもたらしているのか――。改めて、その存在感を見せつける圧巻のパフォーマンスだった。

 今年に入って長谷部は、一度ポジションを失っている。攻守のバランスを取り戻すべく、フランクフルトのアディ・ヒュッター監督は2020年を迎えてから4バックをメインに採用。センターバック(CB)に1対1に強いDFダビド・アブラハムとDFマルティン・ヒンターエッガーを並べ、両サイドバックにも本職がCBのDFエヴァン・ヌディカとDFアルマミ・トゥーレを配備し、さらに4バック前には守備的にプレーする選手も置いている。

 そうすることで、これまでサイドで孤立気味だったウイングバックの守備負担と不安が減った。これまではビルドアップ時にダブルボランチの1枚を最終ラインに落とし、3バックの両脇のCBをオーバーラップさせることで攻撃に変化を求めようとしていたが、不安定なチームでは守備のバランスを崩す要因になっていたのだ。

 ヒュッター監督はまず、守備からの姿勢を徹底させている。前に出ていくべきか、後ろに残るべきかのラインが整理され、攻め上がる選手の数、次の守備への意識が向上し、おかげで不用意なボールロストが減ってきている。

 ただ、すべてが上手くいっているわけではなかった。守備は安定してきたものの、今度は中盤を含めて走り、戦えて、守れる選手ばかりが起用されることで、攻撃時のクオリティーが下がってしまった。狙いのあるパス回しからチャンスメイクをする頻度が減り、一か八かのロングパスが増えてくる。ボール奪取からのショートカウンターには迫力があるが、それ以外の攻め手が少ない点をどうするのか。ブンデスリーガ第22節のドルトムント戦では、まさにそこを突かれて0-4で完敗してしまった。ボールをつなごうにも相手のプレスをかわせず、だからと相手のレベルが高いと良いところでボールも奪えない。

 だからこそ、ゲームメイク能力に秀でた長谷部の存在が、ここにきてまたクローズアップされてきているのだ。

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中野吉之伴

1977年生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA-Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。『ドイツ流タテの突破力』(池田書店)監修、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)執筆。最近はオフシーズンを利用して、日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。

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