“ボランチ”長谷部誠の重要性を再認識 卓越した「プレーインテリジェンス」に独紙賛辞
「今のフォームの長谷部をチームから外すことは考えられない」
ザルツブルク戦では、試合の流れを読むポジショニングと次の展開を見通したパスワークでゲームを完全に掌握。ドイツ地元紙「フランクフルター・ルンドシャウ」は、この日の勝利を「彼の持つプレーインテリジェンス、正しいポジショニングを取り、チームメートのためにスペースを作り出し、チャンスを作り出す能力のおかげ。今のフォームの長谷部をチームから外すことは考えられない」と称賛している。
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24日に行われたブンデスリーガ第23節ウニオン・ベルリン戦でもフル出場した長谷部。フィジカルに強い選手を並べ、激しくプレッシャーをかけてきた相手に対して苦しんだフランクフルトは、守備で軽率なミスが続いたこともあり1-2で敗れてしまった。この日勝てば、上位進出への糸口をつかんでいたかもしれないだけに手痛い敗戦。「キッカー」誌は「上位進出の最後のチャンスを逃した」と指摘し、長谷部も「今日の負けはもったいない」と悔しがる。
そんななか長谷部はチームをオーガナイズし、自分たちの流れをつかむために、頭を働かせ続けていた。
「いろんな局面がありますけど、試合の流れを読んで、ロングボール一辺倒になっていたらちょっと自分がボールを動かしてというのをしないといけない。あとボールを奪ってまたすぐ失って、またすぐ奪って失ってみたいなリズムの時は、いったん落ち着かせようとか。逆にあまりボールが前に進んでいない時には、パス一発で裏を狙ったりとか、そういう変化を試合につける。(今日は)相手が引いていたので、相手のディフェンスライン裏にというのはなかなかなかったんですけど、サイドチェンジをしてというのは考えながら触って。ボールを持った時の感覚は悪くないんですけど、ボールを触る回数というのは、もう少し増やしたい」
実際に長谷部のパスから、決定機につながるシーンも何度かあった。守備固めをする相手をこじ開けるためには、どこかでリスクチャレンジをしなければならない。だが、それもノープランで飛び込むだけでは跳ね返されるばかりだ。

中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで、さまざまなレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス取得(UEFA-Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、16-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。『ドイツ流タテの突破力』(池田書店)監修、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)執筆。最近はオフシーズンを利用して、日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで精力的に活動している。