「納得がいかない」 原口元気、後半ATの失点に怒り…トップ下&ボランチで募る苦悩

ハノーファーでプレーする日本代表MF原口元気【写真:Getty Images】
ハノーファーでプレーする日本代表MF原口元気【写真:Getty Images】

【ドイツ発コラム】2位ハンブルガーSV相手に善戦も…勝利目前で同点弾を許す

 悔やんでも悔やみきれない幕切れだった。

 日本代表MF原口元気が所属するハノーファーは、15日に行われたブンデスリーガ2部第22節で2位ハンブルガーSVと対戦。先制点を挙げたハノーファーは、18年12月のバイエルン戦以来の満員となったホームスタジアムの声援をバックに、相手の猛攻を耐えて耐えてなんとか凌いで、あと少しで勝ち点3を手にできるところまで持ち込んでいた。だが、ラストワンプレーとなったCKからまさかの同点ゴールを喫してしまう。途中出場のハンブルガーFWヨエル・ポーヤンパロに、完全にフリーでヘディングシュートを決められたのだ。試合終了の笛が鳴ると、ハノーファーの選手は次々にグラウンドに倒れ込む。原口もそうだった。

 ハンブルガーのディーター・ヘッキング監督が、「ハノーファーは守備がコンパクトで、我々は特に前半スピードが遅く、判断力も良くなかった。失点は最初のビッグチャンスから奪われてしまった。試合を通して2つ、3つのチャンスがあったことを考えると、最後の瞬間で決められたのは幸運もあったが、最終的には順当な引き分けだったと思う」と試合を振り返っていたが、確かに全体的な流れからしたらそうかもしれない。ハノーファーのケナン・コチャク監督もその点は認めつつ、やはり土壇場で勝ち点を逃した結果を悔やんでいた。

「イメージ通りの試合展開にはなった。相手のスペースを潰し、コンパクトを保ち続けた。アプローチも良かった。1-0と先制点を挙げた後は、そこからいくつかの危険なシーンを乗り越えなければならないというのは分かっていた。だが、最後の最後でまた失点してしまったのは……。痛い」

 原口は試合後のミックスゾーンに姿を現すと、言葉を探し続けた。頭の中を冷静にさせようと時間を取る。最後の失点シーン、なぜフリーでシュートを許してしまったのか。コーチングのミスだったのか。コミュニケーションの欠如だったのか。ベンチからの指示がしっかりと伝わっていたのか。

 分からない。だが、分からないで済ましていい問題ではなかった。「ちょっと納得がいかないです」とこぼした原口。試合後のピッチでは怒りを抑えることができずに、コーチに怒りの声を上げ、周りになだめられる一幕もあった。

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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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