日本代表は「森保の力量を超えていた」 英記者が“後任”を緊急提言「両方を満たせる人物」

インテンシティーが欠けていた日本の選手たちは球際で後手に回った【写真:Getty Images】
インテンシティーが欠けていた日本の選手たちは球際で後手に回った【写真:Getty Images】

森保監督の指導力に疑問符 「グアルディオラでさえやるのに…」

 だが、問題は他にもあった。森保監督の戦術は崩壊状態にあった。サウジアラビア戦の黒星に関してはポジティブな要素も数多くあった一方、2試合とも敗戦に直結するミスがあった。シリア戦においては、日本は平凡だった。FWは活気がなく、動き出しの欠落はシリア側にあまりにも簡単に余裕を持たせすぎた。インテンシティー(プレー強度)もなく、推進力もなく、アタッキングサードの脅威もなかった。

 シリア戦に向けた森保監督の采配は、不十分な点があまりにも多かった。彼は対戦相手を見くびり、サウジアラビア戦の黒星による悪影響を考慮することよりも、オプションをテストすることに集中しすぎた。敗戦という結果によるグループリーグの立場に対して臨機応変に対応するのではなく、元々のプランに固執していた。

 これらの問題は、指揮官が浸透させた文化によるところが大きい。

 対照的な指揮官であるフットボール純粋主義者のジョゼップ・グアルディオラ監督が分かりやすい例だが、彼ですら選手たちに戦術的ファウルを容認している。対戦相手のリズムを崩し、脅威を排除するためだ。グアルディオラでさえやるのに、森保監督が選手たちにイエローカードを覚悟するプレーを教え込むことに、一体なんの害があるというのだろうか。特にシリア戦の終盤で起きた結末のように失点するよりも、よっぽどマシだ。

 また、森保体制は他の指揮官なら浸透させることのできるスマートさに欠けている。Jリーグで残した功績に対しても、どんどん懐疑的な視線が向けられ始めている。「結果がすべて」の国際舞台は、彼の力量を超えていた。A代表と五輪代表の掛け持ちを彼に託したことは間違いだった。

 現在の問題は、彼が務めている役割の一方、または両方を剥奪すべきかどうかだが、五輪代表を解任されるような人物がA代表でも継続性を発揮できると考えるのは難しい。一つの役割を取り払い、もう一つは維持することになっても、ロッカールームでの彼への信頼は失墜するだろう。

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マイケル・チャーチ

アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。

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