南野拓実、CL“初舞台”で別格の輝き 華麗な2アシストと隠れた「ファインプレー」

ザルツブルクMF南野拓実は2アシストで勝利に貢献【写真:Getty Images】
ザルツブルクMF南野拓実は2アシストで勝利に貢献【写真:Getty Images】

夢にまで見た欧州最高峰の舞台、ヘンクとの初陣で6-2大勝に貢献

 夢にまで見たUEFAチャンピオンズリーグ(CL)、スタジアムに流れるあのアンセム。ザルツブルクの日本代表MF南野拓実は、やっと辿り着いた欧州最高峰の試合に胸を躍らせていた。

「スタジアムの雰囲気も最高でしたし、CLのアンセムを聞いた時にはモチベーションが高まりました」

 クラブ史上初めての本戦出場だ。ここ2年間は、いずれもプレーオフまで進出しながら、あと少しで出場権を手にするところまで行きながら、最後の最後でつかみ切ることができなかった。

 レッドスター・ベオグラードに敗れた昨季プレーオフの第2戦で南野は90分間、出場機会が訪れないままベンチで敗戦を見つめ続けることしかできなかった(2戦合計2-2、アウェーゴールで下回る)。それでもチームのために何かできることを……という思いが、彼を動かしたのだろうか。試合後、放心したようにピッチに立ちすくんだり、倒れ込む選手たちのもとに足を運び、手を差し伸べていた。

「それしかやることができなかったから。悔しい気持ちはあったんですけど、ベンチで自分がうなだれていてもしょうがないので、ああするしかなかったのかなと」

 あれから1年。ザルツブルクは晴れてCL本戦の舞台に立っている。クラブとしてのデビュー戦になるヘンクとの試合、南野の姿はピッチの至るところに見られた。右サイドハーフとしてフル出場。そして、試合の大勢を決定づけるビッグプレーを見せた。

 前半2分、中盤センターで味方からのパスを受けると、寄せてくる相手の背中を取る位置へワンタッチでボールを運び、素早く、鋭くグイッと体を入れ、慌てて飛び出す相手センターバック(CB)の鼻先でスルーパスを通す。入れ替わるように抜け出したノルウェー代表FWエルリング・ブラウト・ホランドが右足でゴールネットを揺らした。このゴールがどれだけ選手の足を、心を軽くしたことだろう。ここからザルツブルクは一気に主導権を握り、前半だけで5得点を挙げることに成功した。

中野吉之伴

1977年生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA-Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。『ドイツ流タテの突破力』(池田書店)監修、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)執筆。最近はオフシーズンを利用して、日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。

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