香川真司とサラゴサの“幸せな関係” スペイン2部で際立つ技術にファン熱狂「大きな誇り」

サラゴササポーターのエドゥアルドさん【写真:高橋智行】
サラゴササポーターのエドゥアルドさん【写真:高橋智行】

3点目の起点となったヒールパスは「サラゴサの人々へのプレゼント」

 香川は前節エルチェ戦(1-0)、ダイヤモンド型の4-4-2のトップ下でプレーするも、相手が徹底的に守備を固めてきたこともあり、ボールを上手くもらえず、後半26分に1人目の選手交代でピッチを去った。チーム全体の連係不足も感じられていたが、「僕も我慢しているし、みんなで解決策を見つけ、話し合いながらやってきている」と、ベストの形を模索している段階であることを明かした。

 香川はアルコルコン戦でも、エルチェ戦と同じポジションで先発出場。前節同様、序盤はボールがあまり入らなかったが、時間の経過とともにプレーの質が上がっていった。そして1-0で迎えた前半36分にFKからカルロス・ニエトの決定機を演出すると、その3分後に左サイドを突破し左足で正確なクロスを上げ、カルロス・ビガライが強烈なボレーシュートを放つ。そして同43分には、ラファエル・ドゥワメナに決定的なスルーパスを送っている。

 さらに後半に入ると香川が中盤のパス回しにしっかりと絡み、足もとにボールが入った際は圧倒的な技術で存在感を見せつけた。そして試合終了間際の後半45分、ヒールパスで3点目のカウンターの起点となり、チームはアウェーながら3-0の勝利を挙げた。

 香川は大勝後、「アルコルコンがけっこう前めに来ていたので、バイタルエリアで動き、ミーティングのなかでCBとボランチの間をチームとして狙うという意識があった。そこのスペースが空いていたので、いいリズムをつかむことができた」と振り返った。

 さらに「開幕してからチームとして一番手応えを攻守に感じることができたし、それがポジティブなことだった。でもそれは、そこに至るまでにしっかりとハードワークをやり続けているから生まれているものなので、これに止まらずに続けていきたい。この感触が非常に大事だと思う」と、開幕からの4試合で最高の出来だったことを強調した。

 この日の香川の出来が良かったのは間違いないだろう。それはスペイン紙「マルカ」が、「第4節のベストイレブン」に香川を選んだことでも証明された。そしてチームメイトのビガライ、グティ、ドゥワメナの3選手も選出されている。

 さらにスペインのラジオ局「ラジオ・マルカ」のイスラエル記者は、「カガワはこれまで、他の選手との違いを示してきた選手なのは事実であるし、セグンダ(2部)でプレーするには十分過ぎるクオリティーを備えている。そして実際に、相手を凌駕していたことを感じさせてくれた。特にサラゴサがリードしている時、チームを落ち着かせる役目も果たしていたよ。そして3点目のカルロス・ビガライのゴール時のヒールパスは、サラゴサの人々へのプレゼントになったと思う」と高く評価した。

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高橋智行

たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。

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