CS決勝第2戦で下剋上は起きるのか? 広島の「42%」とG大阪の「9%」に見る逆転の条件

両者の間に生まれたクロス成功率の差

 チーム全体のシュート数や、ボックス内からのシュート数にも変化は見られなかったものの、クロスのところで両チームの間に決定的な差が生まれた。広島、G大阪の両チーム共に、クロスのシーズン平均数は14本、成功率は広島が32%、ガンバが20%だった。だが、この試合では広島が成功率42%とシーズン平均より10%も上昇したのに対し、G大阪は成功率9%と半分以下になってしまった。

 この要因を探るために、両チームの攻撃の起点を見てみよう。[DATA-2]を見ると、G大阪はサイドよりもむしろ中央からの攻撃が多い。一方の広島は両翼、特に右サイドからの攻撃が圧倒的に多かった。

 

図2

[DATA-2]CS決勝での両チームの攻撃(ピッチを三分割し、左サイド、中央、右サイドに分類)

 

 このことは2つのことを意味する。1つ目は、広島の右サイド攻撃が多いということはG大阪の左サイドからの攻撃を牽制することになる。G大阪のストロングポイントは、日本代表にも選ばれている藤春と宇佐美の左サイドからの攻撃だ。その裏を再三突かれることは、G大阪としては決して好ましいことではない。そうしてサイドに目が行った後の中央へのクロスは、やはり相手を見失うケースが多くなってしまう。

 一方、G大阪は中央の攻撃が多かった。この日の広島の空中戦の勝率は高くなかったが、シーズンを通して見るとむしろG大阪より高いくらいだ。リーグ最少失点を誇る3バックはそれぞれ空中戦、地上戦ともに強い。宇佐美、長沢、パトリックが中央を狙えば狙うほど、中央の守りは当然堅くなる。その状況からサイドに展開し、その後クロスを入れても跳ね返されてしまうだけだ。それが11本のクロスで僅か1本しか味方が触れなかった原因だろう。

 

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング