J1→JFL移籍…元日本代表が起こした「衝突」 感じた意識の違い「若手が甘っちょろい」

岩手・小林祐希(写真は札幌在籍時)【写真:Getty Images】
岩手・小林祐希(写真は札幌在籍時)【写真:Getty Images】

小林祐希「自分が今ここにいる現状を、自分で受け止めないといけない」

 いわてグルージャ盛岡は6月15日、JFL第12節でクリアソン新宿に1-0で勝利した。国立競技場で行われ、JFL史上最多となる1万6755人の観衆がかけつけたアウェーゲーム。そんな一戦の決着をつけた後半ATの決勝点は、元日本代表MF小林祐希のラボーナが起点に。「気持ちよかったです」と、試合を振り返った。

 オランダ、ベルギーなどで長く活躍し、2022年にヴィッセル神戸に加入した小林。2023、24年は北海道コンサドーレ札幌でプレーしたが、意外にも新国立のピッチは初めてだという。「これまでの試合に比べたら内容も良かったし、結果にもつながったので良かったんじゃないですかね」と、充実した表情を見せた。

 それもそのはず、1万6755人の観衆に格の違いを示したからだ。国立開催で負けられない新宿をよそに、小林が前線で随所に顔を出して試合をコントロール。右サイドからの正確なクロスでも決定機を演出すると、後半ATにスペースへラボーナでパス。抜け出したMF藤島樹騎也の折り返しをFW藤本憲明が決めた。

 JFLとは思えない好ゲームに、「きょうくらいサッカーにかけている選手たちが相手にもいると、面白い試合になるのは当然」と小林。「みんな人生かけてサッカーやっているので。そういう意味ではすごく良い舞台だったし、楽しかった。クリアソン側の関係者の人たちにもすごく感謝しています」と語った。

 J1から3カテゴリー下げてJFLに初挑戦した小林だったが、今季ここまでは苦しい時間を過ごした。星川敬監督は「チーム内での衝突もありました」と会見で言及。若手の甘えに対しての遠慮ない物言いに、「それでも今では彼の言っていることが正論だったとみんなも感じているし、気付いている」と明かした。

 この衝突について小林本人に聞くと、「どこのチームでもよくあることなので、大したことではないです」と苦笑い。「甘い奴にガツンと言って、それで紅白戦がピリっとしただけ。若手が甘っちょろいところがあるので。ベテラン組に優しくしてくださいみたいな。そんなん知らねえよって」と教えてくれた。

 その効果も徐々に現れてきたのか、岩手は2連勝。「俺が言われるようになるのが一番ベスト。みんな俺にもね、『切り替えろよ』って言ってくるようになってきたので。やりがいがありますね」と小林もチームの意識の変化を感じた。4勝2分6敗の勝ち点14で11位にいるが、後半戦の巻き返しに期待がかかる。

 チームの成長を願う一方、小林自身もまだ第一線でやれる思いがある。「自分が今ここにいる現状を、自分で受け止めないといけない。そういうのをうまく消化しながらサッカーしています。目標を立てられるような年齢でもないし、一日一日、一生懸命やるだけです」と語った口調から、情熱は失われていない。

(FOOTBALL ZONE編集部・工藤慶大 / Keita Kudo)

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