好調の“J1昇格組”大分に根付く片野坂イズム 「これしかない」と策士が追求する機能美

大分トリニータFW藤本憲明【写真:Getty Images】
大分トリニータFW藤本憲明【写真:Getty Images】

ミシャ、森保一、長谷川健太ら名将から学んだ“勝者のサッカー”を4年で大分に浸透

 6年ぶりにJ1を戦う大分トリニータは、第4節を終えて3勝1敗で3位につけており、今季のJリーグにおいて強烈なインパクトを放っている。

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 大分のスタイルの根源は、個の力に頼らず技術と運動量をベースとした高い連動性にある。3-4-2-1システムにおいて、GKを含めた最終ラインからボランチも加わって丁寧に攻撃を組み立て、サイドを経由して、前線へと滞りなくボールが配球されていく様は、優れた機能美を感じさせる。一方で、パススタイルが基本であるものの、決してショートパスに固執するわけでもなく、一気にスペースを狙ったロングフィードやサイド突破も駆使し、実に多様なパターンからゴールを陥れていくのも、大分のサッカーの特徴だ。

 このスタイルを落とし込んだのが、就任4年目の片野坂知宏監督だ。大分をJ3からJ1に導き、J史上初となる同一クラブで2カテゴリー昇格させた指揮官だ。監督としてのキャリアはまだ4年だが、これまでサンフレッチェ広島やガンバ大阪でコーチとして下積みを経験し、3度のリーグ優勝を経験。西野朗やミハイロ・ペトロヴィッチ、森保一、長谷川健太と名立たる名将に“勝者のサッカー”を学んだ。

「いろんな監督の下でコーチとして学ばせてもらい、“これしかない”と思った」のが、今の大分スタイルだ。大分から監督のオファーを受けた際、「常に相手の変化を見て、ゴールを狙おうとする姿勢を持つ。これが大分のサッカーとなればJ1に定着することができると思った。結果だけ求めてガチガチに守って、なんの意図もなく蹴って得点できたとしても何も残らない。自分たちのスタイルを貫いて勝ち、堂々とJ1に昇格したい」と青写真を描いた。

 1年目はすべてが初めてで「試行錯誤しながらスタッフと協力し、結果を出すことを考えて戦った」と振り返る。1年でのJ2昇格の難しいミッションをクリアし、2年目から本格的に目指すサッカーの実現に取り組んだ。

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柚野真也

1974年生まれ、大分市出身。プロ、アマ問わず、あらゆるスポーツを幅広く取材。現在は『オーエス大分スポーツ(https://os-oita.com)』で編集長を務める傍ら、新聞や雑誌、ウェブなど各媒体で執筆する。一般社団法人日本スポーツプレス所属。

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