ハリル解任で「チャンスが巡ってきた」 夢のW杯へ、武藤嘉紀が刻んだ“8得点”の価値
【欧州蹴球探訪|第5回】マインツ3シーズン目で得たもの、リーグ戦8得点で“チーム内得点王”に輝く
細く長い糸を手繰り寄せるようにして、その希望をつないできた。
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FW武藤嘉紀が所属するマインツは今季のブンデスリーガの戦いの中で結果を残せず、厳しい残留争いの渦中にいた。また武藤自身も終盤戦を前に筋肉系の怪我を負って一時チームを離脱し、もどかしい思いを抱いていた。
「今シーズンは厳しかったですね。残留争いをしていて雰囲気も悪いなかで、戦術も定まらなくて、自分自身も代表を外れて怪我もして。思い通りにはいかなかった。それでも得点は取れていたんですけども、怪我をしないで普通に二桁得点、そしてPKもしっかり最初から自分で蹴ると主張できていればと思いましたね」
ドイツでは主張し、思いを吐露しなければ自己を認められない。2015-16シーズンから3年間過ごしたマインツでの生活のなかで、武藤は自らの置かれた環境を理解し、その順応に努めてきた。
「まさか、1シーズン、2シーズンで続けて怪我すると思わなかった。治っても、また同じところを怪我してしまったから。それが一番痛かった。気持ち的にもきつかったですし、異国の地で最初は言葉も分からなかったですから。でも、そこから立ち直って、今シーズンは大きな怪我もなく、ここまで3年間しっかり戦えたのは財産になりますし、これからの指標にもなります」
島崎英純
1970年生まれ。2001年7月から06年7月までサッカー専門誌『週刊サッカーダイジェスト』編集部に勤務し、5年間、浦和レッズ担当を務めた。06年8月よりフリーライターとして活動を開始。著書に『浦和再生』(講談社)。また、浦和OBの福田正博氏とともにウェブマガジン『浦研プラス』(http://www.targma.jp/urakenplus/)を配信しており、浦和レッズ関連の情報や動画、選手コラムなどを日々更新している。2018年3月より、ドイツに拠点を移してヨーロッパ・サッカーシーンの取材を中心に活動。