アメリカは「30年後にサッカー界の実権を握る」 米4部参戦の日系資本クラブが描く未来像

いずれアメリカは「欧州5大リーグに並ぶ」

 年々チーム数を増加させているMLSだが、今では加盟金だけで200億円もの資金が必要と言われている。しかし、お金さえあればそれでいいかといえば実際はそうではなく、どれだけ現地に密着しているのかが問われるという。つまり、ゼストの場合であれば本拠地のサンディエゴにどれだけ貢献できるのかを示さなければならなかったのだ。

「だからこそUSL PDLから始めています」

 地域と結びつくための確かな一歩が、USL PDL参入だった。

「お金だけ集まって、5年、10年とチームを回せるだけの資本力があっても現地での貢献度がないと絶対に入っていけない。どれだけお金を持っている人が来たって、すぐ参入にするべきではない。将来的に2部、3部リーグにゼストとして参入しないかという話は何度もきているが、それでも私たちは今すぐにそこへ入るべきではないと思っています。まずはゼストを形あるものにしつつ、足場を固めてから将来的な動きを見極めようと思っています」

 山内氏はアメリカがいずれ「欧州5大リーグに並ぶ、最強のリーグに成長していくと思っている」と目を輝かせた。

「これは実際にそうなる、ならない云々よりも、その考えの下でやっているグループの一員に入っていることが重要」

 確固たる信念を胸に抱え、着々と積み重ねを続けている。(後編へ続く)

[PROFILE]
山内周司
(Y.E.S ESL INTERNATIONAL,INC 代表取締役社長/YS PROPERTY INVESTMENTS,INC 代表取締役社長)

在米25年、米国を中心に不動産事業、教育事業を展開する実業家。格闘家人生から一転、2006年不動産投資会社設立を経て、2008年よりカリフォルニア州マーセッドカレッジ語学学校の経営に乗り出し、2016年米国にて史上初となる日系資本による男女サッカークラブ「サンディエゴ・ゼストFC」および「ゼストウーマンズ」を設立しサッカー界へ参入する。日米、両国において米国大学男女サッカー部へのセレクションや米国プロサッカークラブへのセレクションを開催し、同時に各スポーツ競技に特化した留学など様々な形で日本とアメリカの架け橋になる活動を行う。

【了】

フットボールゾーンウェブ編集部●文 text by Football ZONE web

ゲッティイメージズ&フットボールゾーンウェブ編集部●写真 photo by Getty Images & Football ZONE web

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