日本を変える「直5大リーグ行き」の増加 Jクラブ、代表に好影響…鍵を握る”人材育成”

日本代表、Jクラブの成長のカギとなる育成
バルセロナには多くのスペイン代表選手がいる。ロドリ、ペドリ、ガビ、ダニ・オルモ、パウ・クバルシ、ラミン・ヤマル、エリック・ガルシア、ジョアン・ガルシア、負傷でW杯メンバーから外れたフェルミン・ロペス。移籍して現在はいないがフェラン・トーレスも当時はバルセロナ所属だった。シャビ・エスパルト、マルク・ベルナルも代表に定着していくだろう。ほぼ毎日トレーニングしているスペイン代表である。
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ヤマル、シャビ・エスパルト、ベルナル、クバルシは2007年生まれの19歳。十代の選手がこれだけレギュラーとしてプレーしているビッグクラブも珍しい。彼らはCLなど大試合の経験を積み、それはスペイン代表にも反映されていく。
バルセロナは育成に定評がある。トップチームと同じ方針で選手を育てているので、昇格即戦力は珍しくない。いわば「プレー言語」を共有しているのでフィットするのが早いのだ。むしろ加入したスター選手の方が馴染むのに苦労する。このプレー言語の共有は当然スペイン代表の強みにもなっていて、その連係能力はW杯優勝の基盤だった。
バルセロナほどではないが、フランス代表とパリ・サンジェルマン、ドイツ代表とバイエルンも似た関係性がある。
欧州ビッグクラブのプレースタイルはほぼ共通していて、ビッグクラブでなくてもワールドスタンダードを目指す競争になっているのだが、そのスタンダードの元はバルセロナのプレースタイルである。代表チームにそこまでの方向性はないが、強豪国となれば同じ傾向はあり、いわばスペイン化の競争だからスペインが有利で、優勝したのも当然ともいえるわけだ。
翻って日本代表はその基盤となるクラブチーム、代表と同じスタンダードで育成まで行っているクラブを持っていない。従って、さまざまなクラブに所属している選手たちを集め、そこで日本代表としての基盤を作っていく作業が必須になる。
選手個々のレベルアップは重要だが、その選手が日本代表のプレースタイルに適応するかどうかというフィルターもかかってくる。バルセロナでレギュラーをとったら即代表入りのスペインと同じようにはいかないわけだ。
ただ、日本の現状はとくに逆風でもない。欧州クラブがスタンダードを精度高く実行する競争になっているなら、その波に乗ってしまえばいいからだ。つまり、欧州に送り込める人材を育成すればいい。また、加速度的に欧州移籍は増えている。
Jクラブ最大の収入源はスポンサー収入である。ただしこれには限度があるだろうから、その他の収入となると選手売却による移籍金に伸びが期待できる。
高井幸大の川崎フロンターレからトッテナムへの移籍金約10億円が今のところの最高額だが、30億円クラスになるとJクラブの年間強化予算を超える。つまり、欧州ビッグクラブへの移籍が1人成立すれば強化費が倍増する。
欧州ビッグクラブへ移籍させるための育成は、ワールドスタンダードの中で有力な人材を輩出することとイコールなので、そうした選手が欧州で活躍して日本代表に5、6人入れば、それだけスタンダード競争で前進できる。
クラブとしては補強予算が飛躍的に増える。現状でJリーグ優勝を争う強豪クラブでなくても、毎年それなりの欧州移籍を実現すれば、有望な若手+外国籍選手+欧州から戻って来たベテランという構成で一気に強豪に浮上する可能性もあるかもしれない。
年齢的にピークな選手が移籍して不在、若手+ベテランという空洞化現象はすでにアルゼンチンやブラジルで起きている。そこで覇権を握るのは欧州移籍で予算を回せるクラブ。Jリーグもまもなくそうなっていくのかもしれない。あまりに欧州市場を意識しすぎるとアイデンティティを失う懸念もあるが、当面のJリーグおよび日本代表の進化のカギは育成になると思われる。
(西部謙司 / Kenji Nishibe)

西部謙司
にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。























