日本代表が見せた「新しい一面」 史上初の開幕戦ハット…代表OBが注目した“相棒”との「阿吽の呼吸」

フライブルクの鈴木唯人【写真:SPP/アフロ】
フライブルクの鈴木唯人【写真:SPP/アフロ】

【専門家の目|太田宏介】フライブルクの鈴木唯人が開幕戦でハットトリック

 ドイツ1部フライブルクのMF鈴木唯人は現地時間8月30日、ブンデスリーガ第1節のブレーメン戦に出場し、日本人初となる開幕戦でのハットトリックを達成し、4-1の快勝に大きく貢献した。元日本代表の太田宏介氏がこの衝撃的な活躍と鈴木唯人のプレースタイルの進化について語った。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部)

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 ブンデスリーガの開幕戦という最高の舞台で、日本サッカー界の歴史を塗り替える偉業が達成された。鈴木の圧巻のショーは、前半の先制ゴールから始まった。前半29分、右コーナーキックからの鋭いボールに対し、キーパーが飛び出してくる危険なエリアへ躊躇なく飛び込み、頭で合わせた。

 このゴールについて、「個人的には1点目とか、相手コーナーのこぼれをもらってペナ外ギリギリのラインぐらいで待ってボレーを狙うイメージがすごくあるんですけど、あそこでお頭で飛び込んでいくっていうのが新しい一面というか意外だなと思いました」と自身の描いていた鈴木のイメージとの違いに驚きを隠さなかった。

 これまで見せていたペナルティーエリア外からの精度の高いボレーやミドルシュートに加え、相手DFと交錯するような危険なエリアへ飛び込んでゴールを奪う泥臭さと強さ。太田氏が指摘した「新しい一面」は、鈴木がストライカーとして、そしてアタッカーとしてさらに上のレベルへ脱皮したことを証明するゴールとなった。

 勢いに乗る鈴木は後半3分、ペナルティーエリア内でバウンドの難しいボールに合わせて追加点をマーク。さらに同10分、自ら起点となったカウンターから相棒であるFWイゴール・マタノビッチとの見事な連携からチームの4点目を叩き込んだ。

「トータルして思うのは、得点の匂いするところに常に顔を出している。マタノビッチとの連携はもう阿吽の呼吸ですね」と太田氏も感嘆。味方が背後に抜けた瞬間に必ず最適なポジションに入り込んでいる鈴木のサッカーIQの高さと、チームメイトとの強固な信頼関係が結実した3つのゴールだったと解説する。

 今季のフライブルクにおいて、彼は単なる一アタッカーではなく、「絶対的な司令塔」として抜群の存在感を放っている。圧倒的なロケットスタートを切った鈴木だが、今シーズンは彼にとって真価が問われる重要な1年となる。

 昨シーズン、攻撃を牽引した相棒のアレクシス・マンザンビがアストン・ビラに引き抜かれた。身近なライバルのステップアップは大きな刺激となる一方で、今季は鈴木自身がよりチームを引っ張る重責を担うことになる。

 さらに、ドイツ2年目ということもあり避けて通れないのが「相手からの対策」だ。太田氏は「この2年目ってすごく難しくなってくると思うんで、そこを昨シーズン以上の結果を出してほしい」と期待を寄せている。

 昨季はリーグ戦で4ゴールに留まったが、早くも3ゴールを記録した鈴木。「アシストのも2桁いけるぐらい攻撃チャンスに絡む回数は圧倒的に増えると思いますし、昨シーズン出たり出なかったりが続く中で、今季は監督の信頼も厚いと思うので、この調子で行ってほしいなと思います」と注目している。

 昨季のゴール数に迫る活躍を開幕1試合でやってのけたなか、相手マークが厳しくなる「2年目の壁」をあっさりと突き破るようなインパクトを残した。アシスト数でも二桁を狙えるポテンシャルを持ち、ワールドカップでの悔しさを胸に挑む今シーズンは、フライブルクをUEFAチャンピオンズリーグ出場権獲得へと導く中心人物として、鈴木唯人の進化のストーリーはまだ始まったばかりだ。

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太田宏介

太田宏介(おおた・こうすけ)/1987年7月23日生まれ。東京都出身。FC町田―麻布大学附属渕野辺高―横浜FC―清水エスパルス―FC東京―フィテッセ(オランダ)―FC東京―名古屋―パース・グローリー(オーストラリア)―町田。Jリーグ通算348試合11得点、日本代表通算7試合0得点。左足から繰り出す高精度のキックで、攻撃的サイドバックとして活躍した。明るいキャラクターと豊富な経験を生かし、引退後は出身地のJクラブ町田のアンバサダーに就任。全国各地で無償のサッカー教室を開校するなど、現在は事業を通しサッカー界への“恩返し”を行っている。

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