日本は5大リーグに次ぐ位置 強豪国に見られる“最大派閥”…必要なCL上位クラブへの定着

日本代表に求められる進化【写真:徳原隆元】
日本代表に求められる進化【写真:徳原隆元】

日本の1つ先を行くノルウェー

 日本は選手輸出国になった。欧州全体の1部リーグで60~70人がプレーしており、5大リーグ(イングランド、スペイン、ドイツ、イタリア、フランス)には2025-26シーズンで26人が所属していた。

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 世界全体で約3000人、欧州5大リーグだけでも100人規模のブラジル、5大リーグ40~60人規模のアルゼンチンの“超輸出国”とは比べるべくもないが、日本は輸出国としてオランダと並んでトップ10には入っているものと推定される。

 自国に5大リーグを持つスペイン、フランス、ドイツも輸出国でもあり、ポルトガルも多いが、日本はすでにそれらに次ぐくらいの位置にはいるわけだ。

 次の段階は欧州ビッグクラブに何人送り込めるか。

 昨季のCLベスト8ではスポルティングCPに守田英正がいた。ベスト16まで広げればリバプールの遠藤航、バイエルン・ミュンヘンの伊藤洋輝、トッテナムの高井幸大もそうだが、主力としてプレーしてはいなかった。

 北中米W杯を優勝したスペインは、25-26シーズンのCLベスト16経験者が26人中18人。所属クラブで最多は、バルセロナの8人である。自国クラブが最大派閥というのはイングランド、フランスもそうだが、イングランドはアーセナル、マンチェスター・シティが各4人、フランスはパリ・サンジェルマンが5人。単独クラブで8人の代表選手がいるスペインは例外的存在と言える。

 整理すると、W杯ベスト4の25-26シーズンCLベスト16クラブ所属者数はスペインが18人でトップ。2位はイングランド(14人)、3位フランス(12人)、4位アルゼンチン(10人)。

 日本は守田、遠藤、高井が代表メンバー外なので、25-26シーズンCLベスト16クラブ所属は伊藤だけだった。2桁いるベスト4とは明確な開きがある。

 日本代表の課題とされる個の能力アップという点で言えば、CLベスト16あるいはベスト8のクラブで何人プレーできているかは1つの指標になるかもしれない。

 最高峰の戦いでしのぎを削る選手層に関して、日本の1つ先を行くのがノルウェーだ。

 欧州ビッグクラブでプレーしているのはアーリング・ブラウト・ハーランド(マンチェスター・シティ)、マルティン・ウーデゴール(アーセナル)、アレクサンダー・セルロート(アトレティコ・マドリー)の3人。しかし、25-26シーズンCLベスト16クラブ所属の選手は6人いる。そのうちボデ/グリムト所属が3人いるのだ。

 ボデ/グリムトはノルウェー国内リーグのクラブ。25-26シーズンCLではベスト16入りを果たしていた。W杯メンバーは3人(パトリック・ベルグ、イェンス・ペーター・ハウゲ、フレデリック・ビョルカン)。スペインにおけるバルセロナほどの存在感はないが、ノルウェー代表にわずかながらも影響を与えているのではないかと思われる。

 ボデ/グリムトはいわば「北欧のバルセロナ」で、洗練されたパスワークが特徴。これまでのノルウェーのクラブにはなかった技巧派である。代表の方は伝統の堅守速攻型を踏襲していたが、ブラジル代表に保持率で上回るなど、堅守だけではないところを見せていた。

 ボデ/グリムト勢でレギュラーとしてプレーしていたのはMFベルグだけなので、ボデがノルウェー代表に影響を与えたというより、技術の向上は育成の成果である。ただ、その技術向上の象徴と言えるのがボデ/グリムトなのだ。

 もし、ボデ/グリムトがCLベスト16の常連になるなら、代表選手の数も増えていくだろう。バルセロナの域には達しないにしても、4、5人なら最大派閥になれる。ビッグクラブで数人がプレーしている段階から、代表の基盤となる単独クラブを持つ段階へ移行する。その時、ノルウェーは日本の2つ先を行く存在になるわけだ。

 2030年W杯ベスト8を目指す日本にとって、ノルウェーは目標となる存在である。

(西部謙司 / Kenji Nishibe)



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西部謙司

にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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