今の日本代表に“ベテラン枠”はいらない フィリップ・トルシエが語る2002年W杯メンバー選考の真相とこの12年間の代表チームの変化

中村俊輔をもし選んでいたら……

――当時、メンバー選考には批判もあったと思いますが。

「ワールドカップの代表メンバーは、その国のベストプレーヤーを23人選べば良いと多くの人は考えているかもしれない。しかし、それは間違いだ。代表選手の選考にあたっては、選手を3つのグループに分けて考える必要がある。

 第1グループは、試合に最初から出場することが要求される選手。対戦相手によっては異なる先発メンバーで臨む必要もあるので、このグループには14人程度が選ばれる。

 第2グループは、先発出場することはないが、試合が終わるときにはピッチに立っている選手。このグループに入っていることは、彼らの能力が劣っていることを意味するのではないし、『控え選手』という表現も正しくない。このグループは5人程度。さらにストライカーや中盤、最終ラインなど、各ポジションをカバーする必要もある。

 最後のグループは、大会を通じて試合に出場するチャンスがほとんどない選手。第3GKが典型的だ。余程の事態が起きない限り、試合に出場する機会は巡ってはこない。しかし、彼らもチームの一員としての役割が求められる。そして、試合に出られないであろうことに不満を示してはならず、常にポジティブでいなくてはならない。

 考えて欲しい。もし、私が中村(俊輔)を選んでいたとしよう。当時の彼はベンチに座っていてもポジティブな態度でいられただろうか? 単純にベストプレーヤーを23人選ぶとすれば、中村は間違いなくその中の1人だった。しかし、彼は第1グループの14人の中に入らなければ、ワールドカップで私の戦力にはならなかった」

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