「野球選手を目指していた」 MVP級のロングスロー…伏線になった「そのまま投げてこい」

中野就斗がロングスローから2ゴールを演出
サンフレッチェ広島に新たなタイトルをもたらす大きな力となったのは、MF中野就斗のスローインだった。11月1日のルヴァンカップ決勝の柏レイソル戦、ボールをつなぎゴールに迫ってくる相手の攻撃をしのいでいた広島に、チャンスが訪れたのは前半25分だった。
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右サイドでスローインを得た広島は、中野がスロワーを務める。ゴール前に送られたボールにDF荒木隼人がヘッドで合わせ、先制ゴールにつながった。直接FKから1点を加えた広島は、前半AT2分にも中野のロングスローから最後はFWジャーメイン良が決めてダメ押しの3点目を挙げ、前半で試合を決めた。後半1点を返されたが3-1で逃げ切った。
MVPに選ばれた荒木は、「中野ありがとう」と表彰式の壇上で中野への感謝を口にしたが、ロングスローを投げられる彼がいなければ、ゲームは全く違うものとなっていた可能性が高い。そんな優勝の立役者となった中野は「本当にうれしいの一言です」と、プロになって初のタイトル獲得を喜んだ。
「今シーズンが始まって(ロングスローを)投げることはできたのですが、途中で肩を痛めてしまってなかなか飛距離が出なかった。この(決勝の)ためにケアしてきたので、今日こうして得点につながって良かったです」と、振り返った。4月頃に左肩を痛め、そこから強いボールを投げれなかったが、「ここ数週間で投げられるようになった」と明かし、「固まっている部分とかをしっかりほぐすケアをしたり、強度を出せるようにトレーニングをしてきました。小さい頃から野球選手を目指していたんで」と、肩の強さに胸を張った。
この決勝では、先制点につながる前に一度スローインを入れる機会があり、その時に荒木から「競り勝てる感触があるから、そのまま投げてこい」と指示を受けていたという。さらに3点目の場面では、ニアへのロングスローを警戒してきた相手の裏をとる形でファーサイドにボールを送ったが、「GKも結構警戒していたので、(佐々木)翔くんがGKをブロックしながらニアのところで触れるかなと思って、そこからすごく良い折り返しをして得点につながったので、あれも自分のなかでは狙い通りだったかなと思います」と、してやったりと胸を張り、「MVPはあるかなと思っていた?」という問いには「僕だと思っていました」と言ってニヤリと笑った。
日本代表GK大迫敬介に加え、最終ラインの守備の強さにも定評がある広島だけに、セットプレーから点を取ることができれば、この日の決勝のような緊迫したゲームに勝てる可能性は高まるはず。「僕が投げられる時はチームとしても脅威になりますし、チームとしても自信を持っているところです。今日2点につながって良かったですし、(柏の)スカウティングをして(ロングスローを投げた)というよりは、良いボールさえ入れば中には強い選手がたくさんいるので得点できると思っています」と、自身のロングスローが大きな武器になることを大舞台で証明した中野は、MVP級の働きをした試合であらためて自身の強みに自信を持てたようだ。




















