20年の歴史を「理解してもらいたい」 若き元Jリーガー社長、愛する地元で仕掛ける“特別な1日”

ザスパ群馬・細貝萌社長、J加盟20周年メモリアルマッチに抱く想い
今季でJリーグ加盟20周年を迎えたザスパ群馬。現在はJ3リーグで苦戦しているものの、クラブは地元出身でドイツなど海外でのプレー経験を持ち、昨季限りで現役を引退した39歳の元日本代表・細貝萌氏が代表取締役社長に就任し、GM(ゼネラルマネージャー)を兼任しながら前進し続けている。そんな若きリーダーが「FOOTBALL ZONE」のインタビューに応じ、20年に及ぶクラブの歴史の中で積み上げてきたものや、群馬県が持つポテンシャルなどについて語った。(取材・文=轡田哲朗/全4回の1回目)
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1995年に草津町で立ち上げられたチームが、2002年にザスパ草津となり、2005年にJ2入りしたところから20周年を迎えた。J2から無念の降格を喫し、今季はJ3を戦っているクラブだが、昨季限りで現役を引退した細貝氏が代表取締役社長兼GMに就任したことは、サッカー界でも大きなトピックになった。
群馬県前橋市の出身で、地元の名門・前橋育英高校から2005年に浦和レッズ入りしてプロキャリアをスタートした経歴の持ち主だけに、地元への愛を持ちながら可能性も信じている。
群馬県は首都圏の一部であり、人口という地域が持つ資産も大きい。細貝氏も「実際に群馬県の人口は190万人くらいで、前橋市で約33万人。うちのスタジアム(正田醤油スタジアム群馬/収容人数1万5190人)の規模を考えれば、正直ポテンシャルしかないと思っています。もちろん前橋、高崎、そして渋川や大田、伊勢崎もですが、このあたりから来場してくださる方が多いのはデータでもわかっています。今、名前が出ていないところからもたくさんの方に来ていただきたいし、そのためにもホームタウン活動に力を入れ、よりザスパを知っていただかないといけない」と、地域とともにクラブを発展させていく上で大きな可能性が眠っていることを語った。
もちろん、クラブの発展にはトップチームの強化も不可欠だ。地元出身の才能がプレーする循環がもっと整っていけば、クラブの根は深くなり幹も太くなる。そうした、強化という観点での潜在能力についても、細貝氏は「僕自身も高校を卒業するまで群馬県のサッカーにベースを作ってもらったと思っていますし、実際に前橋育英高校が現時点では全国高校サッカー選手権の王者ですから、そういった素晴らしい若い選手たちがたくさんいます。だからこそ、群馬のプロサッカークラブとしてザスパはもっと上に行けると思っていますし、アカデミーの成長にもしっかり力を入れなければならないところで、いろいろなものが少しずつ動き出しています」と力を込めた。
「細貝フレンズ」に鈴木啓太氏や柏木陽介氏らが参戦
そうした地元・群馬が持つ潜在能力に希望を抱く中で、Jリーグ加盟20周年記念として開催されるのが、10月12日のJ3第31節ヴァンラーレ八戸戦前に行われるメモリアルマッチだ。J加盟当時にプレーしていた小島伸幸氏や鳥居塚伸人氏らの「2005ザスパ草津OB」と、細貝氏がキャリアの中でともに戦った鈴木啓太氏や柏木陽介氏ら「細貝フレンズ」による12分ハーフの試合が行われる。クラブの歴史を紡いだ地元のヒーローと、日本代表や北京五輪などで活躍したかつての名手たちが一堂に会する機会は、細貝氏の存在があってこそ実現するものだろう。
細貝氏も「なかなか今までに見たことのないだろう選手が群馬に来てくださり、ザスパの2005年を支えた選手たちも来てくださるので、そういった方たちをファンの皆さんに見てもらうのはすごく重要な機会なのかなと思います」と話し、こう続ける。
「しっかりとクラブとしても、歴史を積み重ねて今があることを理解してもらわなければならないですし、12分×2本と短いゲームですが、その後にサッカー教室を開催する予定になっています。とにかく、少しでも多くの方に喜んでいただきたい、楽しんでいただきたい」
J加盟当時を知る世代にも、未来を担う地元の子供たちにとっても、意義のある一戦になることは間違いないだろう。
その上で、細貝氏は「メモリアルマッチに関しては、あくまで20周年事業として楽しんでもらう。でも14時からは八戸とのリーグ戦があるので、そこでは現役選手たち、監督やコーチも含めてですが、現場の人間がベストを尽くして戦う姿も見てほしい。普段ザスパの試合にあまり来られない方の中には、20周年のメモリアルマッチは素晴らしい元選手たちを観に来る方もいらっしゃると思うので、その方たちにもリーグ戦を見ていただいて、今の選手のことを少しでも知ってもらえたら嬉しいと思っています」と、メモリアルな雰囲気に包まれる1日が、クラブとファン・サポーターを繋ぎ、未来に向けた新たな一歩になってほしいとの希望を口にした。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)





















