久保建英は「もっと数字を求めて」 過去10年で最悪スタート…地元記者も期待の“コンビ”

レアル・ソシエダ番記者が久保への要求を語る
代表戦明けの久保建英はレアル・マドリードとの大一番に臨むも、シーズン開幕から続くチームの悪い流れを変えることはできなかった。
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ラ・リーガ最初の3試合で2分け1敗、降格圏一歩手前の17位と成績不振に陥るレアル・ソシエダは、9月13日のラ・リーガ第4節で首位レアル・マドリードをホームに迎えた。チケットの一般価格は最低100ユーロ(約1万7000円)からと通常の4倍にもかかわらず、満席に近いスタジアムは試合前から盛り上がりを見せていた。
代表戦で足首を痛めた久保は今季4試合目にして初のベンチスタートとなった。試合は前半、レアル・マドリードが退場者を出しながらも、キリアン・エムバペの1得点1アシストの活躍により2点リード。レアル・ソシエダは厳しい展開となる中、後半の早い時間にミケル・オヤルサバルのPKで1点を返し、巻き返しを図る。終盤には相手ゴールを包囲し、最終的にボール支配率やシュート数で上回るも決定力を欠き1-2で敗戦。負のスパイラルから抜け出すことも、初勝利で勢いをつけることもできず、2連敗、開幕から4戦連続未勝利と厳しい状況が続いている。
久保は1-2で負けている後半21分に途中出場。これ以上の負けは許されない状況下で投入が遅かったように思えたが、試合後に「フル出場できる状態ではなかった」とセルヒオ・フランシスコ監督が説明したように、ベストコンディションではなかったようだ。右サイドから再三攻撃に絡むが決定機を逃し、クロスもうまく味方に合わなかった。古巣レアル・マドリード戦の公式戦通算成績は15試合(先発11試合)、1025分出場、2勝3分10敗、1得点1アシスト。ここ7試合勝利がない状態が続いている。
この試合の久保に対する評価は全国紙とクラブの地元紙で大きく分かれた。「マルカ」紙や「AS」紙が2点(最高3点)と高評価した一方、地元紙は出場時間の短さから採点なしとはしたものの、厳しめの寸評となった。「ノティシアス・デ・ギプスコア」紙は「クロスもシュートも精度を欠いた」、「エル・ディアリオ・バスコ」紙も「クロスが不安定で、カレーラスを突破できなかった」と指摘している。
この試合の取材に訪れていた、スペインの通信社「EFE通信」でレアル・ソシエダの番記者を務めるアドゥル・サラスア氏も地元紙と同じように感じていた一人だ。
「久保は代表戦で足首を痛めた影響もあってスタメンを外れ、途中出場から積極的に攻撃に関与しようとしていたが、パフォーマンスは少し不安定だった。今日はアタッキングサードでプレーの明確さやクオリティーが欠けていたように感じたよ。皆が見たいと思っている久保ではなかったし、誰もが知る持ち前の実力を発揮できていなかった」

サラスア記者「ラ・レアル最高の選手の一人」
それでも、この試合で見せたカルロス・ソレールとのコンビネーションには目を見張るものがあったと感じていた。
「ソレールはラ・レアルでのデビューを飾り、30分ほど出場したが、インサイドハーフで存在感を発揮していた。監督が話したようにまだリズムが欠けているとはいえ、視野が広く、クオリティーの高い選手だ。久保との連携は何度かうまくいっていたし、今後多くのことで貢献できるだろう」
レアル・ソシエダでは近年、毎年のように主力選手の退団が続いている。そのため、在籍4年目でチームの中心選手にまで成長した久保に対するサルスア記者の期待は非常に大きいようだ。
「久保はラ・レアル最高の選手の一人であり、1対1で高い技術を持っているが、彼にはもっと数字を求めなければならない。例えば、昨シーズンはリーグ戦のアシストがゼロで終わったが、ウイングは主にドリブル突破して、ペナルティーエリアにボールを入れる役目を担っているので、0アシストは物足りない数字だ。彼は素晴らしい選手であることをすでに証明しているので、さらなる飛躍を遂げるためにも、もう少し数字を上げることを求める必要がある」
ラ・リーガ開幕からの4試合でわずか勝ち点2というのはレアル・ソシエダにとって、ここ10年で最も悪い成績だが、なぜこんなにも勝てないのか。サラスア記者はこの状況を次のように分析した。
「新しいサイクルの始まりはどのチームにとっても難しいものだけど、ラ・レアルは特に守備のミスが目立ち、4試合で4つのミスが失点につながっている。プリメーラで、中でもレアル・マドリードのようなチームを相手にした場合、一度のミスが命取りになってしまう。しかも毎試合リードを許しているが、そんな状況から逆転することは本当に難しい」
レアル・マドリード戦は全国的に注目されるため、バルセロナからも取材に訪れていた。カタルーニャ州のラジオ局「カタルーニャ・ラジオ」のフランセスク・リポル記者は出番の短かった久保のパフォーマンスをポジティブに捉えていた。
「後半のラ・レアルで一番良かった。中でもカルロス・ソレールとの連携は本当に良く、2人で多くの違いを生み出していた。久保はクロスやシュートを何度か試みたが、ラストパスとフィニッシュワークの正確さを欠いていた。それでも、今日のラ・レアルのベストプレーヤーは彼だったと思う」
レアル・ソシエダがここまで一度も白星を挙げられていない原因については、攻撃陣に問題があると考えている。
「チームは今、特にゴールに対するアイデアやイマジネーションが足りず、苦戦しているように思う。レアル・マドリード戦ではカルロス・ソレールという収穫はあったが、数的有利な状況にもかかわらず、流れの中からゴールを決めることができなかった」
レアル・ソシエダは次節、欧州カップ戦返り咲きを目指す上でおそらくライバルとなるベティスとアウェーで対戦する。開幕から続く未勝利の流れを断ち切り、敵地で初勝利を飾ることができるのか、久保の活躍と監督が何らかの策を講じることを期待したい。
(高橋智行 / Tomoyuki Takahashi)
高橋智行
たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。





















