川崎監督が見せた「逆配置」起用の妙 浦和の「経験」優先も実らず…明暗分かれた両監督の采配

川崎の長谷部茂利監督(左)と浦和のマチェイ・スコルジャ監督【写真:徳原隆元】
川崎の長谷部茂利監督(左)と浦和のマチェイ・スコルジャ監督【写真:徳原隆元】

川崎と浦和の一戦は延長戦の末に決着

 ルヴァンカップ準々決勝第2戦、9月7日に川崎フロンターレと浦和レッズが対戦したゲームは壮絶な展開で、延長戦の末に川崎が突破を決めた。両監督の采配が明暗を分けた試合にもなった。

【PR】DAZNを半額で視聴可能な学生向け「ABEMA de DAZN 学割プラン」が新登場!

 浦和がホームで対戦した9月3日の初戦は1-1で引き分けた。浦和は初戦から9人のスタメンを入れ替え、リーグ戦に戻すような構成になった。川崎は初戦で負傷したDFジェジエウに替えてDFファンウェルメスケルケン際を送り込んだほか、プレーメーカーのMF山本悠樹、FWエリソンらがスタメンに名を連ねた。

 前半の立ち上がりに浦和はGK西川周作とDFダニーロ・ボザの連携ミスが生まれてPKを与え、これをエリソンが決めて川崎が2戦合計で2-1とリードする展開になった。そこでマチェイ・スコルジャ監督はハーフタイムに動き、初戦で芸術的なゴールを決めたMF中島翔哉とMF柴戸海を送り込む。そして、1点差のまま進んだ後半27分には新加入で登録されたばかりのFWイサーク・キーセ・テリンが浦和デビューを果たした。

 すると2分後にMF金子拓郎のクロスをテリンが押し込んで同点に。川崎の長谷部茂利監督が「交代を1分前にきちんとこなさいといけないですね。私の反省です」と、後手に回った采配を悔やんだ同点弾により、一気に流れが浦和へ傾くかと思われたが、川崎は後半43分にMF伊藤達哉が初戦からの連続ゴールで勝ち越した。シュートブロックに入り、自身に当たったボールがゴールに吸い込まれた柴戸は地面を叩いて悔しがった。

 それでも直後の後半45分、浦和は中央やや右サイドで得たフリーキックを中島が直接蹴り込んだ。激闘は延長戦にもつれ込んだが、浦和は接触プレーのあった柴戸が脳震盪の疑いがあるとして交代を余儀なくされた。そこでスコルジャ監督はMF大久保智明をサイドハーフに入れ、スクランブルでMF関根貴大をボランチ起用。ベンチにはトップ下とボランチでプレーする19歳MF早川隼平もいたが、「経験を考慮しました。難しい試合だったので、早川にとっては難しい部分があるのかなと考えました。早川より関根にゲーム勘があると判断をしました」と決断した。

 一方の川崎も、延長戦に向け両サイドハーフの伊藤とMF宮城天の左右を入れ替えた。長谷部監督は「それぞれに長所を持っていて、伊藤は左からカットインして点を取ったこともありますし、もともと左をやっています。宮城がこの前に点を取ったのは右サイドをやっていた時。コーチのアドバイスもありまして、変えてみるのはどうだと。そういうことも含め、私は一番いい判断をしないといけない。自分の考えはもちろんですが、選手たちが躍動するために」と、舞台裏を明かした。

 そうしたなかで迎えた延長前半4分、バックパスを受けた西川がチャージを受けてボールがペナルティーエリア内で川崎ボールに。その流れでのシュートは西川が防いだが、こぼれ球をキープした川崎が伊藤につなぐと、縦への突破を関根が倒してしまいPKに。これを宮城が決め、2戦合計4-3で川崎が勝利する決勝ゴールになった。

 経過を見れば次々に両監督が起用や交代、ポジション変更を決断した選手たちがゴール場面に絡んだ。死闘とも言えるような120分間だったが、わずかなところに明暗が分かれた采配になった。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



page 1/1

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング