古巣に太鼓判「浦和だったらやれる」 クラブW杯攻略法…強豪撃破への鉄則「絶対してはいけない」

森脇良太氏、クラブW杯に臨む古巣へエール「慌てずにプレーすることが重要」
世界各国から大陸代表32チームが集結し、4年に一度のクラブ世界一決定戦としてリニューアルされた、クラブ・ワールドカップ(W杯)が米国で現地時間6月14日(日本時間6月15日)に開幕した。日本からは浦和レッズが出場して欧州や南米の強豪と激突するが、元日本代表DF森脇良太氏はかつてのチームメイトと古巣へ「浦和だったら、十分やれる力はある。何十倍も予算を持つクラブが相手でも、勝機が十分にあるのがサッカーというスポーツの醍醐味」と、エールを送った。(取材・文=轡田哲朗/全2回の2回目)
【PR】DAZNを半額で視聴可能な学生向け「ABEMA de DAZN 学割プラン」が新登場!
◇ ◇ ◇
米国で開催される今回のクラブW杯は、4チームずつ8組に分かれてのグループリーグから始まり、その後に決勝トーナメントが行われる形式となった。
かつては6大陸王者と開催国代表を加えた7チームによるトーナメント方式だったが、旧制度で2度出場経験のある森脇氏は、両者の違いについて「トーナメントでは一発勝負の面白さがあるんですけど、リーグ戦では腰を据えて3試合をどう戦っていくかというのを考えると思います」と語る。
今大会でグループEに入った浦和は、リーベル・プレート(アルゼンチン/日本時間6月18日)、インテル(イタリア/日本時間6月22日)、モンテレイ(メキシコ/日本時間6月26日)と対戦する。森脇氏は「凄いチームが揃っている」と感嘆しつつ、初戦の重要性について言及。自身の経験を踏まえて、こう語る。
「初戦はどうしても硬くなるところがあると思います。それこそJリーグにない緊張感や、全く異なる雰囲気もある。海外から浦和に戻ってきた選手もいますけど、最初は少し圧倒されたり、その空気感に慣れたりするまで多少時間がかかるかもしれません。ありきたりかもしれないけど、立ち上がりに絶対失点してはいけない。ゼロでいくという強い気持ちで臨んでもらいたいですね。多くの選手は普段との違いを感じると思います。でも20分、30分ぐらい経てば慣れてくるはず。だから、それまで我慢することが大事ですね。相手はテクニックも優れているだろうし、スピードやパワーを備えた選手も間違いなくいると思います。そのなかで浦和の選手たちがバタバタせず、慌てずにプレーすることが非常に重要になりますね」
浦和の3選手を名指し「できる限りのことをチームに伝えてもらいたい」
グループリーグ形式での戦い方にも言及する森脇氏は、「仮に初戦を落としたとしても、第2戦で巻き返すことは可能です」と前置きしたうえで、「だからこそ、西川(周作)選手にはリーダーシップを発揮してほしいし、原口(元気)選手、関根(貴大)選手など経験豊富な選手たちには、短い1か月の期間で、できる限りのことをチームに伝えてもらいたいですね」と元チームメイトへエールを送る。
さらに「第1戦の結果に一喜一憂しすぎず、第2戦にしっかり向かっていくことが大切。(グループ突破を考えれば)、第2戦のほうがより重要だと感じています。それは、初戦に勝ったとしてもです」と、第2戦のインテル戦を鍵として位置づけた。
今大会に向けて、浦和のマチェイ・スコルジャ監督は5月のリーグ戦からクラブW杯を念頭に置いた選手起用に工夫を凝らしており、MF渡邊凌磨をサイドに起用するなど守備面での力強さを求める一面が垣間見えた。
浦和の強みや今季の特徴について、森脇氏は「パスワークで相手を崩すというより、個人能力の高さが光っている印象です。それこそ1対1で勝負できる強さがある」と分析。そのうえで「相手が来たところを松尾(佑介)選手や金子(拓郎)選手がスピードを生かしてカウンターを仕掛ける展開がハマりそうな気がします」と期待を込めた。
そして、世界の強豪と対峙するなかで、DF目線で大切にすべきポイントについても言及。今季はDFマリウス・ホイブラーテンとDFダニーロ・ボザのセンターバックコンビで堅守を築いているが、森脇氏はチーム全体としての守備意識の重要性を強調する。
「DF目線で大事なのは、とにかく(自チームの)前線の選手の集中力と気持ちを切らさないようにアプローチすること。前線の選手はボールを回されて、追う回数が増えてくると思いますが、そのなかでも後ろから『我慢だぞ』『ナイスだぞ』『それを続けろ』といった前向きなコーチングが間違いなく必要。ちょっとでも気持ちが切れる選手が出てしまうと、大きな崩れにつながってしまう。例え声が届かなくても、プレーが切れたタイミングなどで、みんなで声をかけ合う作業はものすごく重要ですね。あとは、『(相手に)攻めさせていい。これは自分たちの時間なんだ』という共通意識を持つこと。それをチーム全体で共有することで、浦和のカウンターも生きてくるし、それは浦和の強みだと思っています。相手に油断をさせるくらい、どんどん前掛かりになってもらう戦い方も有効だと思います」

古巣・浦和に期待「自分たちの良さがどこまで世界に通用するか」
先日、浦和の昨年度売り上げが100億円を超えたというニュースが伝えられた。Jリーグではトップクラスの経営規模を誇る浦和だが、今大会のグループリーグで顔を揃える強豪と比べると、クラブ規模は最も小さく、選手の市場価値も低い水準とされる。それでも森脇氏は、「多くの人が分かっていますが、サッカーは最も番狂わせが起こるスポーツだと思っています」と力を込める。
「インテルやリーベル・プレートのように、浦和より何十倍も収益や予算を持つクラブが相手でも、勝機が十分にあるのがサッカーというスポーツの醍醐味なので、それをぜひ見せてもらいたい。浦和の強みを存分に発揮してもらいたいですね。勝利のためにいろいろな手段を駆使すると思いますが、自分たちの良さがどこまで世界に通用するかというチャレンジもしてもらいたいなと思います」
「本当に、浦和だったら十分やれる力があると思います」と古巣にエールを送った森脇氏。グループリーグ初戦のリーベル・プレート戦は、現地時間6月17日(日本時間18日午前4時)にキックオフ。浦和が世界を驚かせるような戦いを見せられるのか、期待と注目が集まっている。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)




















