日本代表と戦う日本人 クラブW杯3位に輝いたオークランド岩田の“夢の続き”

日本代表との対戦は「不思議な感じ」

 オーストラリアの大地でアジアカップ連覇に挑む日本代表と戦う、一人の日本人がいる―。
 アギーレジャパンは3日、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州セスノック市の合宿地へと入った。4日には、パレスチナとの大会初戦(12日・メルボルン)に向けてトレーニングマッチを行う。
 練習試合の対戦相手となるのは、ニュージーランドのオークランド・シティ。4大会連続でOFCチャンピオンズリーグを制し、昨年のFIFAクラブワールドカップ(W杯)では3位にも輝いている。そのオセアニアの雄には、日本人DF岩田卓也が所属している。
 岩田は2012年にオークランドに加入し、クラブW杯にも3大会連続出場を果たした左利きのサイドバックだ。世界3位となった昨年は本大会の全試合にフル出場し、チームの躍進に貢献した。この活躍によって日本でも注目を浴びた岩田だが、それまでは無名の存在だった。
 岐阜工時代にGK荻晃太(甲府)らとプレーし、浜松大学卒業後の06年にFC岐阜(当時東海リーグ)へと加入している。その後、岐阜のセカンドチームでプレーしながらJリーガーを目指したが、それはかなわず。
 夢を諦めきれない男は10年、職も決まらぬまま渡豪を決断した。男は、その行動力でケアンズのエッジ・ヒル・ユナイテッドでプレーする機会を勝ち取った。さらに、オーストラリアのトップリーグであるAリーグのクラブとの契約を目指した。だが、契約には至らず。さらに、ビザの問題で帰国の決断を迫られていた。そんな折、知人の勧めで「クラブW杯に出られるかもしれない」という理由でニュージーランドへと渡った。
「日本に帰る気も無かったし、まだ海外でプレーしたいという気持ちを持っていたので、ダメモトでチャレンジしてみようという形でニュージーに入った。妹からは帰ってきてと言われたんですが、最後のチャンスがほしいとお願いしました。もし、チームに入れなかったらサッカーも引退して家族を支える、もし入れたらサッカーをやらせてほしいという話をした。なんだかんだで、それから3年目になる。まだ迷惑をかけ続けています」
 そう言って苦笑いする岩田は現在、配達業と、サッカー教室のコーチを兼務しながらサッカーを続けている。

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