アジア杯ライバル国記者「日本は常に危険」 警戒も自信「誰も結論なんて予測できない」【現地発】
イランのハティミ氏を直撃
ドーハの中心街、ムシェイレブ地区にあるメインメディアセンターにはアジア各国のメディアが集結し、自国向けのさまざまな情報を発信している。メディアセンター内でお互いに情報交換することは多々あるが、今回、そのなかでも他国の記者への声かけに特に熱心だったのはイランメディアだった。
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イランのテレビ局に情報を提供するラディアハーティサードで副編集長を務めるマジェッド・ハティミ氏は大柄であることと押しの強さを生かして、次々に情報を集めていた。相互取材を条件に話を聞く。
「日本はそもそもどんなスポーツにも秀でている。バレーボール、バスケットボール、そしてフットボール。特にフットボールについてはサウジアラビアと比べてみるとよく分かるだろう。サウジアラビアのリーグには有名選手がたくさんいる。ところがリーグのレベルを比べてみると、Jリーグにかなうレベルのリーグはアジアにはない」
「そういうことがワールドカップ(W杯)の成績に表れている。カタールW杯での日本代表はファンタスティックだった。だから日本はイランチームにとって常に危険だ。私の感覚としては、決勝で戦うのはイランと日本か韓国だ」
ハティミ氏はそう日本を持ち上げながらも自信を見せる。
「日本はチームのベースを持っている。イランはそれに比べると足りない部分がある。だが、イランと日本が戦えば、誰も結論なんて予測できない。ただ、日本は久保建英(レアル・ソシエダ)、三笘薫(ブライトン)、上田綺世(フェイエノールト)が怪我している(またはコンディション不良)ということじゃないか。イランは幸いなことにコンディションが悪い選手はほぼいない。だからイランが勝つチャンスがあると思う」
誰がどんな状態か、日本の情報は筒抜けだった。お互い順調にグループリーグを首位で通過すれば対戦するのは決勝戦。情報戦はさらに厳しくなっていくことだろう。
続いてハティミ氏のインタビューを受けると、日本サッカーの躍進の要因について聞かれた後、「ガザ地区の人たちにコメントを」と求められた。イランの初戦の相手はパレスチナ。さまざまな感情が入り交じった戦いは、イランにとって日本戦よりも難しいのかもしれない。
森 雅史
もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。