久保建英は「交代させるべきではなかった」 現地メディアが高評価、相手番記者も「電光石火の動きで役割を全うした」【現地発】

ソシエダでプレーする久保建英【写真:Getty Images】
ソシエダでプレーする久保建英【写真:Getty Images】

ソシエダはラス・パルマスに0-0ドロー、久保が3戦連続MOMもチームはいまだ未勝利

 久保建英がシーズン開幕から3試合連続でマン・オブ・ザ・マッチ(MOM)に輝いたものの、レアル・ソシエダはいまだ勝ち星を挙げられない状態が続いている。

 6季ぶりに1部復帰を果たした今節の対戦相手ラス・パルマスの拠点であるグラン・カナリア島は、モロッコと西サハラの国境東の大西洋に浮かぶ島。サン・セバスティアンからは約2500キロ離れており、ソシエダの選手たちは飛行機で約3時間移動して今季初のアウェーゲームに臨むことになった。

 ラ・リーガ開幕から2試合未勝利が続いているチームにとって、同じく1分1敗と勝ち星のない相手に是が非でも今季の初勝利を収めたい一戦に向け、ここまで1得点1アシストを記録し、2戦連続でMOMに選ばれている好調の久保は、定位置となっている4-3-3の右ウイングで再び先発出場した。

 久保は前半、ラス・パルマスに主導権を握られたことにより、右サイドで張るもあまりボールを受けることができず、時折最終ラインまで戻るシーンも見られるなど、守備に追われる時間が長くなる。また同32分に右サイドでセルジ・カルモナをかわし、前半のチーム唯一となるシュートを打つが惜しくも枠を捉え切れず、スコアレスドローでハーフタイムを迎えた。

 後半に入ると、選手交代が功を奏したこともあり、久保は徐々に調子を取り戻していった。同10分にミケル・オヤルサバルのシュートチャンスをお膳立てし、その直後、相手のミスパスをペナルティーエリア内で拾いシュートまで持ち込むが惜しくも枠外。そして同29分、右サイドから左足で正確なクロスを上げ、ゴール前に走り込んだマルティン・スビメンディが頭で合わせるも、GKの好守に阻まれてしまい得点とはならなかった。

 同30分に前節同様モハメド=アリ・チョーとの交代でピッチを去った。最後までスコアが動かず、チームはまたもや引き分けに終わったが、久保は開幕から3節連続でMOMに選出された。

地元紙は久保のプレーを高く評価「素晴らしいクロスを入れた」 番記者も賛辞

久保建英について語ったラス・パルマスの地元デジタル紙「ティエンポ・デ・カナリアス」の番記者セサール・ロレンソ氏【写真:高橋智行】
久保建英について語ったラス・パルマスの地元デジタル紙「ティエンポ・デ・カナリアス」の番記者セサール・ロレンソ氏【写真:高橋智行】

 この試合に関してスペイン各紙はこぞって、ファインセーブを何度も披露したGKアレックス・レミーロをチームのベストプレーヤーに挙げていたが、久保の評価はどうだったのであろうか?

 クラブの地元紙「エル・ディアリオ・バスコ」は、「徐々に調子を上げていった。前半はカルモナをかわし、コースを狙ったシュートがゴール上隅に外れるという個人プレーを見せただけだった。ハーフタイム後、よりプレーに関与していき、上手く振り向いたプレーでオヤルサバルにパスを送り、後半29分にはスビメンディに素晴らしいクロスを入れた」と寸評し、3点(最高5点)を付けた。

 もう1つの地元紙「ノティシアス・デ・ギプスコア」は、「ほぼいつもどおり、レアル・ソシエダのフィールドプレーヤーの中で最も優れた選手だった。特に輝きがあったわけではないが、イエローカードを誘発し、2度の決定機を外したもののスビメンディに素晴らしいボールを送った。交代させるべきではなかった……」と評し6点(最高10点)。一方、全国紙の「マルカ」紙、「AS」紙はともに1点(最高3点)と評価をした。

 試合後、この日の対戦相手となったラス・パルマスの地元デジタル紙「ティエンポ・デ・カナリアス」で同クラブの番記者を務めるセサール・ロレンソ氏に、この日の久保のパフォーマンスを振り返ってもらった。

「前半の久保は、レアル・ソシエダの中でも特にチャンスを作ろうと試みた選手の1人ではあったけど、ほとんど何もやらせてもらえなかった。ラス・パルマスのほうが非常に上手くゲームをコントロールして、ラ・レアルを完全に押さえ込んでいた」と分析した。

 続いて、「後半に入ってラ・レアルが息を吹き替えしたことで状況が一転した。ラス・パルマスはほとんどの時間、ボールを支配されてしまったし、久保は電光石火の動きで監督に求められた役割を全うし、徐々に自分の武器を好きなように生かすプレーができるようになっていった」と、ソシエダが流れを取り戻した後半の出来を高評価した。

ソシエダには課題山積「自分たちに合ったスタイルを見出す必要がある」

ラス・パルマスの本拠地エスタディオ・グラン・カナリア【写真:高橋智行】
ラス・パルマスの本拠地エスタディオ・グラン・カナリア【写真:高橋智行】

 またロレンソ記者は3試合連続引き分けでいまだ勝ちなしのソシエダの現状について、「ラ・レアルは今季、チャンピオンズリーグ(CL)に参加するチームだけど、ラ・リーガは序盤から大いに苦しんでいるようだ。ラス・パルマスにも有利にプレーされてしまったしね。今日の試合を見る限り、久々に出場する大きな大会に向けてラ・レアルは、もっと競争力を高め、もう少しプレーのテンポを上げなければいけないと強く感じたよ。勝ち点を獲得するために自分たちに合ったスタイルを見出す必要があると思う」と、早急になんらかの修正が必要だとの見解を示した。

 久保は開幕戦で得点するなど、個人としては幸先の良いスタートを切れているものの、チームとしての結果が伴っていない。そんななか、来月半ばよりCLがスタートするが、その直前に行われるラ・リーガ第5節で3連勝と好調を維持する首位レアル・マドリード相手にアウェーで戦わなければならず、厳しい戦いになることが予想される。そのため、来月2日にホームで開催される第4節のグラナダ戦は、現状を打破して悪い流れを断ち切り、今後に弾みをつけるためにも、絶対に勝利する必要があるだろう。

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高橋智行

たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。

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