日本代表は「コントロールを失った」 英記者が見た森保J、コロンビア戦の積極交代→失速に持論「偶然ではない」
【識者の目】英国人記者がコロンビア戦のパフォーマンスに見解
森保一監督率いる日本代表(FIFAランキング20位)は、3月28日にキリンチャレンジカップ2023でコロンビア代表(同17位)と対戦し1-2で敗れた。かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、昨年のカタール大会でワールドカップ(W杯)を7大会連続で現地取材した英国人記者のマイケル・チャーチ氏は、電光石火の先制点をマークした三笘薫の重要性を説き、その存在価値に触れている。
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日本が誇る才能、三笘薫は彼の目覚ましい活躍によって日々大きくなる騒ぎと過熱する報道を落ち着かせたいと思っているかもしれない。
コロンビア戦で先制のヘディングシュートを決めたブライトンの男は自分の唇に人差し指を当てて喜んだ。自らの行動で外の人間を黙らせようとしていた。
しかし、このフィーバーを落ち着かせ、彼がカタール・ワールドカップ(W杯)前の生活に戻りたいと思っているのであれば、もう少し効果的でないことを試みるしかないだろう。
試合開始3分も経たないうちに決まったパワフルなヘディングは見事で、三笘がよりオールラウンドな選手へと成長を遂げたことを強調するものだった。
プレミアリーグでの活躍もあり、三笘はカタールW杯後に世界で最も注目される若手選手として地位を確立した。その調子の良さを日本代表にも持ち込んでいる。
森保一監督にはこのウインガーをチームから外す選択肢はもはやないだろう。W杯前までは彼が三笘を信頼していないようにも見えた。だが、振り子は反対方向に触れ、三笘はその期待に応えている。
三笘は今や森保監督のチームでファーストチョイスの1人になった。そこには確かな理由がある。コロンビア戦でプレーした53分間、彼は相手の脅威であり続けた。彼がベンチに下がったのと日本代表が試合のコントロールを失ったタイミングが重なったことは、おそらく偶然ではないだろう。
森保監督は後半早々に積極的な交代策を講じたが、それまでサムライブルーはハメス・ロドリゲス不在のコロンビアに対して優位に立っていた。日本が選手やポジションの変更を行っても、日本のほうがいいチームだった。
交代が混乱を招き、新しく入ってきた選手たちが噛み合う前に主導権を渡した」
左サイドバックで代表初出場を果たしたバングーナガンデ佳史扶は早い時間からコロンビアによるテストを与えられた。FC東京の若者はチームに溶け込むのに少し時間を要していた。センターバックの板倉滉と伊藤洋輝のコンビもいささか不安を覗かせた。
遠藤航をベンチに置き、鎌田大地をいつもよりも深い位置に下げる采配は興味深く、守田英正はいつも以上にエネルギッシュなパフォーマンスだった。守田はアタッキングサードでも特筆すべき存在感を示していた。
重要なのは、森保監督にとってはこの試合も実験的なものだったということだ。個々の選手や考えられる組み合わせについて学んでいるところで、結果を気にしすぎる必要はないだろう。試合としてはあまりいいものではなかったが、監督にとってはあまり重要ではない。
後半開始から15分で5人の選手が入れ替わった。この交代が混乱を招き、新しく入ってきた選手たちが噛み合う前にコロンビアに主導権を渡してしまった。
それから森保ジャパンは再び落ち着きを取り戻し、終盤には試合を優位に進めた。上田綺世は2度際どいヘディングシュートを放ったが、コロンビアのGKカミロ・バルガスに阻まれた。
三笘に代わって堂安律が投入され、左サイドに回った伊東純也はコロンビアの守備にパニックを起こしていた。西村拓真との交代で出場した久保建英も持ち味の技巧を発揮した。
だが、それでも日本の主役は三笘だった。三笘はこの騒ぎが静まることを望んでいるかもしれないが、今のパフォーマンスを続ければ、彼を称える声援は大きくなる一方だろう。
マイケル・チャーチ
アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。